◆ステロイドで皮膚が壊死。点眼薬で失明することも
![[飲んではいけない]市販薬](https://assets.mama.aacdn.jp/contents/210/2025/11/1763166932458_pimw0lekh.jpg?maxwidth=800)
「水虫は白癬菌による感染症なので、抗真菌薬を使わなければいけない。ステロイドを誤用すると、免疫が低下して症状が悪化。他の感染症にも罹りやすく、皮膚が壊死することもある」(井上氏)
花粉症やドライアイなど、現代人は目薬をよく使う。目が充血して結膜炎と自己診断して、安易に点眼薬を使うと悲惨な結果を招くこともある。
「結膜炎には、アレルギー性と細菌性のものがある。仮に抗ヒスタミン点眼薬を使うとアレルギー性結膜炎には効くが、細菌性には抗菌点眼薬でないと効果がない。それどころか症状が悪化して角膜潰瘍になり、最悪の場合、失明してしまいます」(同)
この他にも、市販薬が重大な健康被害をもたらすケースは多い。規制緩和の前に、安全な制度設計が必要だ。
◆誤用すると重篤症状に!? 危険な市販薬
【胃痛薬】パリエットS、オメプラールS、タケプロンS……リスク度 5/5胃痛を胃酸過多と勘違いし、PPI(プロトンポンプ阻害薬)を継続使用した結果、胃がんに。進行すれば生命リスク
【咳止め】アネトン……リスク度 4/5
咳き込んでいる子の症状を、親が「軽い咳」と自己判断。OTC咳止めを投与したが、仮に小児喘息なら重度発作を起こす危険性もある
【湿疹・かぶれ止め】リンデロンVsなど……リスク度 4/5
水虫(白癬)だからと、安易にステロイド系塗布薬を使用。免疫が低下し、感染が悪化。組織が壊死することも
【睡眠薬】ドリエル、リポスミンなど……リスク度 3/5
処方されていたベンゾ系睡眠薬が保険適用外になり、市販の抗ヒスタミン系睡眠薬を服用。倦怠感から仕事に支障が出るようになりかねない
【点眼薬】ザジテンなど……リスク度 5/5
目が充血したので結膜炎と自己判断して、OTC抗ヒスタミン点眼薬を使用。もし細菌性結膜炎なら角膜潰瘍に。最悪、失明の可能性アリ!
【点鼻薬】ナザール、アスゲンなど……リスク度 3.5/5
鼻炎に市販のナファゾリン系点鼻薬を数か月使い続けていたら、粘膜萎縮と慢性鼻閉を発症する危険性がある
【北原医院院長・内科医 井上美佐氏】
専門は免疫学。全国保険医団体連合会理事。大阪府保険医協会副理事長。YouTubeなどで積極的に情報発信し。メディア出演多数
【武蔵野大学薬学部教授 阿部和穂氏】
薬学博士。専門は薬理学と脳科学。『副作用がなければ薬じゃない?』『危険ドラッグ大全』(ともに武蔵野大学出版会)ほか著書多数
取材/山本和幸 取材・文/齊藤武宏 写真/時事通信社 PIXTA
―[[飲んではいけない]市販薬]―

