「初任給をもらった日はあんなに嬉しかったのに、今では給料が足りないと嘆いている」
「好きな仕事に就けて喜んでいたのに、最近は毎日つまらなくて辞めたい」
そんな風に、月日とともに気持ちが下がってしまったことはありませんか?
人は幸せに慣れやすく、「もっと」を求めてしまうもの。そして皮肉にも、この“もっとを求める心”が逆に人を不幸にしていくのです。
今回は、夜の銀座と経済の取材現場で働き、多くの超富裕層の方々に出会ってきた私が学んだ「不幸にならないためのヒント」をお話しします。

◆「生活レベルを上げることは“負債”」60億円投資家の言葉
私の知る資産60億円超の投資家の方はこう言います。「生活レベルを上げることは一番の“負債”だよ」
まず、タワマンやブランド品などにお金を使っても、幸福感は長続きしないのだそう。
これは行動経済学でも証明されています。「快楽順応」といって、人はどんな快楽(幸せ)にも時間とともに慣れてしまい、さらに上を求めてしまうのです。
簡単に生活レベルを上げてしまうことのできるお金持ちほど、この“快楽順応”の罠に陥りやすいのですね。
さらに、一度生活レベルを上げると、維持するにもお金がかかりつづけ、下げようとすれば精神的な苦痛が伴う。
まさに「負債」という表現が腑に落ちますね。
だから「生活レベルを上げること」には何より慎重になるべきだ―と。
◆「幸福のランニングマシン」を走る私たち
人が「もっと」と幸せを追い求めて走りつづける姿は、心理学で「幸福のランニングマシン」といわれています。走っても走ってもマシンの上なので、ゴールには辿りつきません。
また、禅の考えでもブッダがこう説いています。
「苦しみをもたらしているのは“求める心”である」「“求める心”が、“満たされなさ”の繰り返しを生む」
昔から、私たちを不幸にしているのは、他でもない自分自身の心であるーーと。どれだけ贅沢を重ねても、満たされるわけがないことがわかりますね。

