
寒さに強く、切り戻しで繰り返し咲くキンギョソウは、季節を横断する主役です。晩秋に植えて冬を耐え、早春に一気に立ち上がって初夏まで景色を引っ張ります。この記事では大鉢から花壇まで、季節で衣替えしながら楽しむ実践レシピを鳥取県米子市のガーデニスト面谷ひとみさんから教わります。差し替えレシピや管理のコツ、失敗Q&Aもまとめました。ぜひ参考にしてください。
キンギョソウはなぜ晩秋〜冬の主役になれるのか?

晩秋から冬は、草丈のある庭の素材が少なくなります。そのため、花壇も寄せ植えも何かと「平たく」見えがち。その平坦な風景に立体感を出すのに最適なのがキンギョソウです。直立する花穂で縦のラインをつくり、パンジーやビオラ、アリッサムなど地際で低く咲く花々に対し、高さやボリュームを補ってくれます。厳冬期には花が一旦止まっても、葉が花壇や鉢植えで立体感の核に。特に葉色がダークパープルの品種はカラーリーフとしても活躍します。
【キンギョソウの基本情報】

- キンギョソウ:ゴマノハグサ科・一年草扱い(本来は多年性ですが日本では夏越しが困難)
- 草丈:矮性20〜30cm、中性40〜60cm、高性70〜100cm
- 花期:晩秋〜初夏(厳冬期は小休止)。切り戻しで再開花しやすい。
- 色・形:白・黄色・ピンク・紫・赤・複色、一重から八重など花形も豊富。ほんのり香る品種もあり。
- 使い方:庭植え、鉢植え、寄せ植え、切り花。
キンギョソウは管理がシンプルで初心者も育てやすい花
- 光:4時間以上の日照があれば、徒長することなくきれいな株姿に。
- 剪定:咲き切った花穂を半分ほどでカットすると(切り戻し)、脇芽が出て春に開花の再ラッシュ到来。切り戻した後には肥料をやると元気になります。
- 肥料:厳冬期は控えめに。春から液肥を定期的に与えると花もちアップ。
- トラブル:密植すると病気が発生するので、透かし剪定をして風通しよく維持。草丈が高くなり、温度が上がってくると倒れやすくなるので、必要に応じて竹ひご支柱で目立たないように支えてあげましょう。
キンギョソウを使った季節横断寄せ植えレシピ
晩秋から冬を越え、翌年のバラが咲く頃まで、主役と脇役を演じながら季節をつなぐキンギョソウの寄せ植えを紹介します。鉢の中の植物を総入れ替えするのではなく、使えるものは残して少しずつ植物を入れ替えていくのがポイント。
晩秋はコスモスと、冬はカラーリーフとして、初夏は主役に

秋は高性のコスモスを鉢の中心に。赤い花のキンギョソウ‘ブラックプリンス’はコスモスの周囲に、サブメインとして彩りを添える存在です。他に秋らしい素材としてダリア、ソラナム・パンプキン、観賞用トウガラシとともに。鉢縁の周りを紫の小花のブラキカムでぐるりと囲んで整えます。

真冬の厳冬期にはキンギョソウは小休止。一旦、茎を切り戻して黒い葉をカラーリーフとして活かします。中央にはピンクの花が咲く低木のピメレア‘フォーシーズンズ’や紫の花のベロニカ‘グレース’で高さを補って。新たにパンジーやビオラ、スキミア、チェッカーベリーで彩りをプラス。花は少ないものの、鉢縁のブラキカムは残しておきます。冬の間はどの植物もあまり生育しないため、やや多めに詰め込んでおいたほうが見栄えはGood。この季節は寒いので、蒸れや害虫の心配はありません。

翌年の春、鉢の中央部からはキンギョソウが丈高く伸びてきました。周囲のパンジー、ビオラ、ブラキカムもふんわり咲いて鉢から溢れんばかり。春になり暖かくなると、一年草は一気にボリュームを増してきます。こうなってきたらいくつかの植物を抜いて、別の場所で再利用します。

初夏のバラの咲く頃、赤い花穂のキンギョソウが大鉢を華やかに彩ります。この頃の花は草丈が高く、茎先にボリュームたっぷりに咲くため倒れやすくなります。この鉢では円形のプランツサポートを用い、株の周囲を囲って株全体を支えています。パンジー、ビオラの代わりにペチュニアとヒューケラでパープルを。ブラキカムも再び鉢からこぼれ咲いて個性あふれる姿に。
パンジー&ビオラと主役をバトンタッチ

白いキンギョソウを鉢の中央に。茎が直立するネメシアやギョリュウバイで中景を作り、草丈の低いパンジーやアリッサムでこんもりさせ、斑入りアイビーやハツユキカズラを垂れさせてバランスを整えました。冬は草丈の高いキンギョソウが主役。春先は2倍ほどのボリュームに育ったパンジー、ビオラへ主役を交代。キンギョソウは花が終わったら一旦切り戻しておきます。

バラの頃には再びキンギョソウが満開に。中景をフロックス、デージーでつなぎ、パンジーの代わりに初夏はペチュニアでこんもりさせます。アリッサムはどんどん垂れてくるので、間引くように剪定すると形を保つことができます。
冬は“赤の面”で暖かく、初夏は“縦ライン”でバラの伴奏者に

日照が低く色が沈みがちな冬は、赤色の花で面を作ると一気に華やぎます。クリスマスから正月にもぴったりの色です。つるバラ ‘スノーグース’の赤い実が絡む柱の足元を、パンジーやチェッカーベリー、キンギョソウ、ストックで赤色の花壇に。

初夏は草丈高く育ったキンギョソウの赤い花が‘スノーグース’の真っ白な花と共演します。足元はサルビアやデルフィニウム、ロベリアなどの寒色でコントラストを。同じキンギョソウでも季節と組み合わせが変わるだけで、役割がスムーズにバトンタッチ。
キンギョソウのお手入れカレンダー(関東平野部目安)

キンギョソウで季節をつなぐには、適期に最適の作業をすることがポイントです。季節ごとのお手入れをご紹介します。
晩秋(10月下旬〜11月下旬)
- 開花している苗の販売時期です。苗を入手しましょう。
- 場所は霜の当たりにくい日なた。昼間の日照を受けて温度が保たれやすい壁際などもおすすめ。
厳冬(12〜2月)
- 伸びた花穂は低めにカットし、株元に光を入れましょう。
- 乾きにくいので水やりは午前中に、表土が完全に乾いてから。
春(3〜4月)
- 施肥をします。緩効性肥料をひとつまみ。また、液肥を1週間〜10日に1回定期的に。
- 一番花が咲き終わったら花穂を1/2で切り戻し、脇芽のつぼみを育てます。
初夏(5〜6月)
- キンギョソウは二番花、三番花を楽しみ、梅雨入りで抜き取るのが無理なくきれいに楽しめます。
管理のコツは3つの「S(Shear・Sun・Supply)」
1. 切る/Shear
花穂の下から花が茶色く枯れてきて、花がついていない隙間が増えたり、花穂全体が前かがみに傾いてきたら、花穂をカット。カットするときは草丈1/2を目安に。
2. 光/Sun
日照不足は徒長や病気の原因になるので、冬でも4時間以上の直射が確保できる場所に植えましょう。
3. 養分・水/Supply
冬は肥料をあまり吸い上げないので、控えめに。春から肥料を再開します。水やりは朝、鉢底から流れ出るまで。厳冬の場合は回数を落としましょう。
