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老眼と格闘しつつ、自分はまだ「現役」と信じていた50代…裏では、人事部から「定年前の働かないお荷物社員」と呼ばれていた“地獄”

老眼と格闘しつつ、自分はまだ「現役」と信じていた50代…裏では、人事部から「定年前の働かないお荷物社員」と呼ばれていた“地獄”

まだまだ働き盛りの50代。肩書きも給与も十分なはずなのに、「なぜか仕事への意欲が湧かない」という人も多いのではないでしょうか。考えられる原因はさまざまですが、その背景には、気づかぬうちに見逃している「定年のサイン」があるかもしれません。丸山法子氏の著書『定年を意識したら読む本 定年のトリセツ』(ごきげんビジネス出版)より、心身ともにじわじわと忍び寄る「定年」を知らせるサインについてみていきましょう。

50代になるといつの間にか増える「たそがれ通知」

いつものとおり出勤し、デスクにつけば、すっかり使い慣れたパソコンを開く。たくさんのメールが流れてきます。広告やメーリングリスト、メルマガに埋もれた、仕事のメールを探し出すのは、まさに採掘みたい。老眼もあいまって、ひと苦労です。

大切な連絡を見落とししないように注意しつつ、タイトルを斜め読みしていると、こんなフレーズに気づきます。

ライフプランセミナー、早期定年の案内、年金制度の勉強会、老後の生活資金、リスキリングや学び直しのセミナーの案内。退職後に行く「豪華客船でまわる世界一周の旅」「相続対策」「介護と認知症予防」など、証券会社やデパート、ショッピングサイトだけでなく社内セミナーの案内。そう、「たそがれ研修」が届きます。

「自分には、まだ関係ない」。ゴミメールを片付けるのがもはや日課になっている同世代の皆さん、お疲れさまです。

定年目前世代に増える「働かない社員」

全国各地の職場で人材開発の研修講師をしていると、職場で交わされている普段の会話を事細かく聴かせてもらっています。

人材開発の研修は、社員の仕事の能力向上とコミュニケーショントレーニングが中心で、言い換えると「働かない社員を働く社員にする研修」をしているのですが、若手やZ世代を対象にしていると思いきや、定年を意識しはじめた世代向けになっている会社の多さに驚きます。

働かないというのは、悪意をもって怠ける、というのではなく、

1.言われたことしかしない

2.なんなら言われたこともできる限りしない

3.モチベーションや積極性は皆無

4.リーダーとか後輩の指導をしてほしいとか昇格の辞令を言われるなら辞めたい

5.しかし有給・手当・福利厚生や給料・昇給はしっかりもらうのが当然

そう考えて、生産性が皆無な社員のテコ入れです。人事担当者から聞いた「お荷物社員」の姿、そんなにひどいのかなと思いきや、愛すべき昭和な時代を生きた人たちでした。

人のことをとやかくいえません。かくいう私も昭和ど真ん中に生まれ、バブル時代を少しだけ味わい、社会人を長くやってきました。信号機がまだまだ少なく、アスファルトのない砂利道の記憶があるくらいだから、相当古い人間です。

そんな記憶はすっかり歴史博物館レベルだと、若い世代との会話をしているとわかってくるものですが、日々同じ世代とだけ仲良くしていると、時代の流れから隔絶されてしまい、まさに浦島太郎状態になってしまうのです。そんなことはないですか。

浦島太郎のあなたのパソコンに「もういくつ寝ると、定年だよ〜」と教えてくれるのが、冒頭のメールです。「定年の知らせ」が届きはじめるのが50代。老いの世界へようこそ、老後デビュー。まさに傷つきやすく繊細で、それでいて一人ひとり違う、不安定な年代です。

徹夜のダメージ、気力の低下…見逃せない「定年到来」のサイン

ほかにも「定年の知らせ」はあります。たとえば、平坦なところでつまずいて転倒してつい骨折するなど、笑い話にすらできないレベルの体力の衰え。ジェットコースター並みの気力低下。ホラーですか!とつっこみたくなる寝起きの顔。

次の日の朝に味わう揚げものと霜降りの深い後悔。徹夜残業のダメージが1週間抜けず、パソコンやスマホの操作をなかなか覚えられない……など、いままであった「右肩上がりの成長株」というセルフイメージの卒業を痛感することはないですか。

ここまで「こんなことはないですか」としつこく聞きました。だんだん嫌な気分になった人もいるかもしれませんね。ほんと、ごめんなさい。

たしかに「あなたはすでに老いへの一歩を踏み出していますよ」と言われて、「やったーーーー、待ちに待った老後、バンザーーーイ」なんて大喜びする人は、そういないのかもしれません。もちろん耳に痛い話をしているのはわかっています。しかし「そうかもしれない」と、1ミリ程度でもそれを引き受けていただけないと、この話は進みません。

安心してください。いますぐ老後の準備をしてくださいとはいいません。ただ、その心構えだけはしておいてほしいなというのが、研修講師であり、福祉の専門家である私からの提案です。

聞いておいて損はない、とくに嫌でも社会福祉が身近になる、老いの未来の話なのです。

◆ここまでのまとめ◆

●人生の後半期は気づかないうちにいつの間にかやってくる

●老いへの第一歩である「定年の到来」を受け止めよう

丸山 法子
株式会社Rensa 取締役/福祉事業部 リエゾン地域福祉研究所 代表

※本記事は『定年を意識したら読む本 定年のトリセツ』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
 

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