◆高市人気に乗じた“解散”は厳しい
ーーこの高い支持率を背景に、来年早々にも解散総選挙に踏み切れば圧勝するのでは?という見方もあります。古谷:解散総選挙については、党としては来年も厳しいだろうなという印象です。
公明党がいないことで、各選挙区で2万票と言われる票がなくなります。ネット右派がそれを補うという意見もありますが、私の推測では多くて7000票か8000票。つまり、1万2、3000票は吹き飛ぶ勘定です。
仮に過半数を取ったとしても、参議院のねじれは変わりません。葛飾区議選で自民党現職が軒並み落選し、トップ当選したのは参政党でした。ああいう都市部の選挙で自民党がふるわないということを、党は深刻に受け止めているはずです。
冒頭にも申し上げたとおり自民党の支持率が上がっているわけではないので、高市さん頼みで解散するにしても、全国300弱の小選挙区をみんな高市さんが回れるのかと言ったら不可能です。解散は博打に過ぎず、現実的ではありません。
高市政権をめぐる熱狂は、政治への関心の高まりというより、SNS発の“印象の支持”が先行していると古谷氏は指摘する。国会中継の切り抜き動画や「サナ活」の広がりは象徴的だが、そこには政策の吟味よりも、見た目や所作といった“空気”だけで政治家を評価する危うさがある。
本来、国民にとって政治家はファンとする対象ではなく、公約という“契約”を守ったかどうかを監視する相手だ。高市人気に乗じた解散論が現実的でないという見立ても、政権全体の支持が広がっていない現状を示している。
印象に流されず、結果と公約で政治を評価する目を持てるかが、肝心になるといえそうだ。
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1982年生まれ。作家/評論家/令和政治社会問題研究所所長。日本ペンクラブ正会員。立命館大学文学部史学科卒。20代後半からネトウヨ陣営の気鋭の論客として執筆活動を展開したが、やがて保守論壇のムラ体質や年功序列に愛想を尽かし、現在は距離を置いている。『愛国商売』(小学館)、『左翼も右翼もウソばかり』(新潮社)、『ネット右翼の終わり ヘイトスピーチはなぜ無くならないのか』(晶文社)など、著書多数
<取材・文/日刊SPA!取材班>

