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維新の「閣外協力」を「連立」と呼べる理由が政府見解で明らかに/倉山満

維新の「閣外協力」を「連立」と呼べる理由が政府見解で明らかに/倉山満

―[言論ストロングスタイル]―

高市早苗総理が「連立政権」と明言する自民党と日本維新の会の政権。しかし維新は「閣外協力」を宣言し、閣僚を一人も送り出していない。果たしてこれは本当に「連立」なのか——。NHK党議員の国会質問によって明らかになった政府の公式見解は、驚くべきものだった。平成の政治混乱期の事例と照らし合わせながら、「連立」という言葉の曖昧さと、そこに潜む政治の本質を問う(憲政史研究科・倉山満氏による寄稿)。

自民党 高市早苗総裁 日本維新の会 藤田文武共同代表
10月20日、“連立政権”樹立の記者会見後、固く握手を交わす自民党の高市早苗総裁(写真右)と日本維新の会の藤田文武共同代表(手前)。 写真/産経新聞社

◆「複数の政党によって構成される内閣」

 高市早苗自民党総裁(総理大臣でもある)は、日本維新の会との「連立」政権を組んでいる。しかし、当の維新が「閣外協力」を宣言し、大臣だけでなく、副大臣・政務官を含めた政務三役を一人も送り込んでいない。遠藤敬国対委員長を元の職と兼任のまま、内閣総理大臣補佐官として送り込んでいるだけだ。

 さて前回も述べたが、これは「連立」なのかどうか。多くの人が疑問に思っている。

 この点、NHK党(編集部注:執筆時)の齊藤健一郎参議院議員が問い合わせ、政府より公式の見解を引き出してくれた。以下、私が理事長兼所長を務める(一社)救国シンクタンクが協力して作成した問い合わせ文を解説する形で、ご紹介したい。

 問い合わせ内容は、現在の高市早苗内閣は、自由民主党と日本維新の会による「連立」政権なのか。

 法令用語研究会編『法律用語辞典』(有斐閣、’20年)の「連立内閣」の項によれば、「複数の政党によって構成される内閣」である。法令用語研究会とは、内閣法制局の職務経験者による研究会のこと。内閣法制局は、日本政府の法令解釈を司る役所である。

◆「閣外協力」なのに「連立」と呼べるか

 自由民主党と日本維新の会は、首班指名以前から「連立」政権樹立に向けての協議を行い、「連立合意書」を締結した。しかし、日本維新の会は「閣外協力」を宣言している。メディアでは「連立」との用語も使われている。一方で「閣外協力」は「連立」ではないとの意見も散見する。これまでの一般的用法及び法律用語としては、「閣外協力」と「連立」は別の概念であった。高市内閣において維新が「閣外協力」であるのは誰もが否定しない事実であるが、これを「連立」と呼んでよいのか。従来の概念通り、「連立」と「閣外協力」は別概念であるならば、その旨の回答をいただきたい。逆に、従来の概念と違い、今次「閣外協力」を「連立」とするのであれば、やはりその旨の回答をいただきたい。その場合は、理由もお願いしたい。

 以上の説明の上で、日本国憲法下の事例を調べ上げ、検討の参考に付した。

 ここでは、はっきりと「連立」を宣言し大臣を出しているような事例(最近までの自公連立)ではなく、解釈が曖昧な事例を並べた。これらは、平成初期に集中している。

 平成5(1993)年、細川護熙非自民連立政権が成立した。次いで離合集散の末、翌年に羽田孜非自民連立政権が成立した。しかし政権は数か月にして、自民党と社会党と新党さきがけによる連立の村山富市社会党政権に移った。


配信元: 日刊SPA!

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