
9月になり、暑いながらも少しずつさわやかな空気が感じられるようになってきました。連休や祝日が多いこれからの季節は、行楽にベストなシーズン。実は行楽にも体質によって合う、合わないがあり、上手に選べば行楽自体が養生にもなるんですよ!
この秋は東洋医学にもとづいた“行楽養生”で、休日を楽しみながら体調を整えてみませんか?
秋は体調を整えやすい季節。だからこそ行楽で養生しよう

まだまだ暑い日々が続いているものの、暦の上では秋の3番目の節気である「白露(はくろ=9月7日~22日)」となりました。白露という名は、朝露が草に降りて白く光るという意味に由来するもの。夜に冷え込みやすくなり、そのために水蒸気が結露して朝露が生じるようになる時期です。日が短くなってきて、朝夕には少しずつ涼しい秋風が吹き始めているようですね。
東洋医学では、秋は養生をするのに最も効果的な季節といわれています。植物は春や夏に太陽から吸収したエネルギーを秋に果実として実らせますが、人間の体も同じように、春や夏にとり入れたエネルギーや栄養が秋になると体内で調整されて滋養となるのです。体調を整えやすい秋だからこそ、養生をするにもうってつけ。ぜひ、行楽養生を楽しんでください。
ではまず、体質をチェックしてみましょう。次のA~Dのうち、最も当てはまる不調が多いもの、もしくは最も気になる不調が含まれているものを選んでください。
A:疲れやすい、だるくて元気が出ない、夏バテ気味、冷えやすい
B:よく眠れない、めまいが起こる、目が疲れる、肌や髪がパサつく、不安感がある
C:ほてりやすい、のぼせやすい、のどが乾きやすい、吹き出物が多い、赤ら顔
D:ストレスがたまっている、イライラしやすい、肩こりがひどい、むくみが強い
Aに該当する人は体の活動エネルギーである「気(き)」が不足しているタイプ、Bに該当する人は「血(けつ≒血液)」が不足しているタイプ、Cに該当する人は体内に余分な熱が多いタイプ、Dに該当する人は体内のめぐりが滞っているタイプです。次からは、各タイプの養生にぴったりの秋の行楽をご紹介していきましょう。
Aタイプは気を補う味覚狩り、Bタイプは美しい色彩を楽しむ行楽を

気が不足しているAのタイプは、専門的には「気虚(ききょ)」と呼ばれる体質です。気虚になるおもな原因には過労、睡眠不足、食事制限、汗のかきすぎなどがあるほか、夏バテが抜け切らないという人も気虚の可能性が。そんな気虚タイプは、「旬の味覚で気を補う」ことをテーマに行楽を楽しんでみましょう。秋は味覚狩りが楽しい季節。胃腸が弱ってるなと感じている人や体力低下が気になる人は、きのこ狩りに出かけてみて。きのこは胃腸の調子を整えて気を補い、疲労回復に役立ちます。また、疲れのほかめまいや不眠なども気になる人には、気と血を補う食材であるぶどう狩りがおすすめ。単に旬の味覚を食べるだけではなく、味覚狩りをすることで木や土に触れて、自然の気をたっぷりと補うことができるでしょう。
そのほか、夏バテが続いている人は冷房などで胃腸が冷えて消化機能が低下し、それが気虚の原因となっている可能性があるので、温泉でおなかを温めると疲労回復につながります。なお、激しい運動は体に負担がかかって気の消耗につながるので気をつけて。食事は温かい飲み物や食べ物を中心にするといいでしょう。
血が不足しているBのタイプは、「血虚(けっきょ)」と呼ばれる体質です。血虚になるおもな原因は無理なダイエットや偏食、夜ふかしなどがありますが、特に現代人に多いのが目の使いすぎ。スマホやパソコンなどを長時間見ることは目の酷使となり、私たちが思っている以上に血を消耗してしまうのです。そこで行楽養生は「目の保養」をテーマに楽しんでみましょう。美術館や水族館、植物園、絶景スポットなどを訪れて、その美しい色彩をじっくりと鑑賞してみてください。自然やアートの色を画面越しではなくじかに鑑賞することで、脳がリラックス状態になり、目の疲労回復にもつながります。
また、血虚タイプは精神的に不安定になりやすいので、舞台や伝統芸能などを鑑賞して心を満たす芸術体験もおすすめ。なお、食事は肉類をしっかりとると血の補給になります。気虚タイプと同様に体に負担がかかる行楽は控えて、ゆったりと過ごすことを意識してください。

