
上半身はほてるのに下半身は冷たくなる「冷えのぼせ」。更年期に伴う体質の変化に加えて、意外な日常のルーティンが症状に影響している場合も多いようです。
そこで、冷えのぼせの「冷え」の原因となるNG行為と「のぼせ」の原因となるNG行為をそれぞれチェックして、冷えにくくのぼせにくい生活習慣へと改善していきましょう。
寒いのか暑いのかわからない⋯⋯更年期に多い「冷えのぼせ」とは

友人や家族とのなにげない会話中、特に暑いわけでもないのに急に首から上がほてり出して話に集中できなくなった。
電車に乗車中、足は冷えているのに急に顔や首もとから汗が吹き出し、周囲の視線が気になって途中下車したくなった。
⋯⋯こんな、寒いのか暑いのかよくわからないという経験はありませんか?
これは更年期に多い不調の代表格である「冷えのぼせ」の症状です。
下半身が冷えているのに上半身に熱感が生じる冷えのぼせは、上半身と下半身をぐるぐるとめぐる熱と水分の循環がうまくいかなくなって、体内で熱と水分が分離している状態。東洋医学では「上熱下寒(じょうねつかかん)」と呼ばれ、読んで字のごとく体の上部に熱がたまり、下部が冷えてしまう状態をさします。
更年期に見られる冷えのぼせのうち、のぼせがより強い場合は水分が少ない「腎陰虚(じんいんきょ)」(詳細は「更年期の養生 Vol.1」)であることが多く、冷えがより強い場合は熱が少ない「腎陽虚(じんようきょ)」であることが多いようです。
いずれの場合も、上熱下寒である冷えのぼせに対する養生法は「頭寒足熱(ずかんそくねつ)」が基本。しかし、現代人の生活習慣にはこの頭寒足熱とは相反するNG行為が多く、なかには健康のためにいいと思っていたことが実は冷えのぼせを悪化させる一因だった⋯⋯なんて場合も。
冷えのぼせをやわらげるためにはまず、そうした日常生活に潜む意外なNG行為を見直すことが大切です。
「上熱(上半身ののぼせ)」を悪化させる意外なNG行為

まずは、上熱下寒の「上熱」=上半身ののぼせを悪化させる意外なNG行為について見ていきます。冷えのぼせが気になる人は、当てはまる項目について見直してみるといいでしょう。
◉ホットヨガ
デトックスや代謝アップなどが期待できるホットヨガ。しかし高温・高湿度のもとで行うホットヨガは体温が上昇しやすく、かつ高湿度によって熱が体外に発散されにくいため、体幹部が過熱状態になります。すると、血流が上半身に集中するため下半身には熱が行き渡らず、冷えのぼせを悪化させやすい傾向に。特にのぼせが気になるときはホットヨガを控えて、普通のヨガを行いましょう。なお、運動量の多い陽ヨガよりも、ゆっくりと体を動かす陰ヨガがおすすめです。
◉長風呂・半身浴で大量発汗
冷え予防や疲労回復にうってつけの全身浴や半身浴ですが、長時間の入浴については要注意。大量の発汗によって体内の水分が減少し、相対的に熱が強くなるために、熱が体の上部に集中しやすくなります。入浴は38〜39℃のぬるめの温度で10分前後まで。汗が出はじめたらのぼせ注意のサインなので、発汗が強くなる前に湯船から上がりましょう。湯船から出たあとは膝から下にシャワーをかけて温め直すと、頭部の熱を下半身に降ろしやすくなります。なお、のぼせが強い場合は半身浴は控えたほうがベター。同じ理由で、長時間のサウナや岩盤浴も注意しましょう。
◉食後すぐの入浴
食後は消化活動のために胃腸に血流が集まっており、その状態で入浴をすると血管が拡張してさらに上半身へ血液が集中。結果、上半身ばかりが熱くなり、下半身は血流不足で冷えやすくなってしまいます。のぼせやすい場合は入浴を食事の約60分後に、消化に時間がかかる炭水化物多めの食事や脂っこい食事のあとは90~120分後がおすすめ。入浴の時間から逆算して、夕食の時間を早めにすると理想的です。
◉スパイス類の大量摂取
体を芯から温めて冷え予防に役立つスパイス類。薬膳の食材分類では、シナモンは体をかなり強く温める「大熱性」、クローブ・こしょう・唐辛子は強く温める「熱性」、その他の多くのスパイス類・山椒・マスタードは少し温める「温性」の食材とされています。適量をとるのは問題ありませんが、とり過ぎるとのぼせを悪化させる原因に。特にスパイスカレー、麻辣系料理、火鍋、激辛料理、シナモンが強めのチャイ、シナモンロール、こしょうたっぷりの肉料理などは食べすぎないように気をつけましょう。スパイス料理は週1回程度が目安です。

