◆傲慢さが悪い方向へ転じたのかも

「一番思うのは、たいていのことは何とかなるということ。お金がなくなっても、人生はやり直しがききます。大切なのは、食べるものがあって、寝られる空間があることに感謝する心を持てるかどうかでしょうね。それから、人生はうまくいっているときにたくさんの人が寄ってきます。でもしくじれば、引いていく。どんな自分でも一緒にいてくれた人を忘れないようにしたいですね。うまくっているとき、私には謙虚さがなかったなと今はわかります。その傲慢さが悪い方向へ転じたのかもしれません。そんな私でも、今一緒に馬鹿な話をして笑い合える仲間がいるのは、本当にありがたいことです」
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篠塚さんの、ガリ勉からセクシー男優という変わり身は意外に映るかもしれないが、根底には融通の利かない実直な精神性が流れているのではないか。とことんまで突き詰めなければ、生きている意味がない。そんな極端で突飛で、倫理よりも衝動に従う荒削りなエネルギー。彼はきっと、“この生き方しかできない”を死ぬまで掲げて人生を渡っていく。
<取材・文/黒島暁生>
【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

