◆猟銃規制が進む背景にある凶悪事件
日本は重大な事件が起こるたびに猟銃の規制が強化されてきました。1971年の銃刀法改正でライフル銃の所持には散弾銃の所持経験が10年以上必要という要件が加わりましたが、これは1960年から1970年にかけて銃を使った凶悪事件が頻発したためです。
2009年の銃刀法改正で破産者が所持できないことになり、精神科医による診断書も必要になりました。この法改正の背景にあったのが、2007年の佐世保のスポーツクラブでの乱射事件でした。
そして2025年3月にはハーフライフル銃がライフル銃の一種に。所持には原則として10年以上の散弾銃所持歴が必要になりました。2023年に起こった長野県中野市4人殺害事件を受けたものです。
ハーフライフルは、もともと散弾銃に分類されていました。
散弾銃は通常、金属のバラ弾を空中で広げるようにして発射するものですが、専用の弾を使用することで一つの大きな弾丸を撃つことができます。
◆10年前と比較して3倍に増加した「ハーフライフル」
通常のライフル銃は銃身にらせん状の溝(ライフリング)が刻まれ、弾道を安定させています。日本の銃刀法ではこのライフリングが散弾銃の銃身長の1/2にすると定められていたため、半分の状態にした特殊な銃を生み出しました。これがハーフライフルです。法の穴をかいくぐるようにして、10年縛りに左右されることなくライフルに近い銃を持つことができたのです。このハーフライフルはよく売れていました。
2023年の猟銃の所持許可丁数は14万6530丁で、2013年比で24%減少しています。散弾銃は26%、ライフル銃は21%それぞれ減少しましたが、ハーフライフルは3倍以上も増加していたのです。
今回の規制で販売に急ブレーキがかかるのは間違いなく、銃メーカーへの影響も大きいものとなるでしょう。

