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結婚願望ナシ38歳男。彼女と付き合って3年、旅行中に突然結婚を強く意識したワケ

結婚願望ナシ38歳男。彼女と付き合って3年、旅行中に突然結婚を強く意識したワケ

今週のテーマは「国内旅行で、男が女に対して結婚を意識した理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:彼女と2泊3日の福岡旅行。38歳独身主義男が急に結婚を意識した女の言動とは



福岡からの帰りの機内で、僕は今回の旅を振り返りながら、あることをずっと考えていた。

だから羽田空港へ到着し、タクシーを由梨と一緒に待っている間、考えていたことを言葉にした。

「由梨。一緒に住まない?」
「……え?」

鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている由梨。それはそうだろう。交際して3年になるが、僕が結婚や同棲を拒み続けてきたからだ。

でも今回の福岡旅行で、僕の中である決意が芽生えた。

「だって…このまま、どうせ僕の家に一緒に帰るでしょ?それだったら、一緒に住んだほうが早いんじゃないかなと思って」
「それって…どういうこと?」
「もちろん、結婚を前提に」

僕自身が、一番驚いているかもしれない。あんな紙切れ一枚で拘束されるなんて、絶対に嫌だと思っていたから。

しかし交際3年になり…何より、今回の旅行で由梨のある言動で、僕は強く結婚を意識するようになった。


A1:結婚なんて自由が奪われると思っていた。


由梨とは友人の紹介で出会った。若くして起業した僕は、どちらかといえば成功している部類に入るだろう。

家も車も手に入れて、毎晩予約の取れないレストランで会食をする日々。華やかで、豪華な日常だった。

しかしそんな生活とは裏腹に、遊び相手ではなく真剣に交際できる彼女を探していた。そこで紹介されたのが、由梨だった。

華やかで美しい見た目だったが、職業は大手日系企業の経理部所属…と、いたって真面目。

最初に会った時から、「綺麗な人だな」とは思っていた。

「由梨ちゃんは、どういう人がタイプなの?」
「私は、大人っぽくて頼れる人が好きです。駿さんは?」
「僕は真面目な人かな。あと、派手に遊んでいるタイプよりも、落ち着いている人が好き」

結局フィーリングも合い、数回食事をした後、そのまま交際することになった。



付き合った後も、僕たちは仲良くやっていた。30歳という年齢もあり、交際当初の由梨は結婚を何度かチラつかせてきた。

「駿は、結婚とか考えたことある?」

心のどこかで由梨に対して申し訳ない気持ちはあったが、本音を言うと、結婚には興味はなかった。

「俺、縛られるのが嫌で。たぶん結婚とかはないかな」

これが僕の中でのすべてだった。

結婚して今の自由な暮らしがなくなるのも嫌だし、当分結婚はないと思う。それを隠して付き合うのは悪いし、僕の中で誠意を持って伝えたつもりだ。

すると由梨は納得したのか、しばらく経つと何も言わなくなった。

ただどうしても、僕の家の鍵だけは欲しいらしい。

「不便だから、鍵もらえると嬉しいんだけど…」

たしかに、デートの終わりには僕の家に泊まったり、僕の家で一緒にご飯を作って食べることも多い。「不便だ」と言う由梨の気持ちもわかる。

しかしここでも、僕には譲ることのできないこだわりがあった。



「家に勝手に入られるの、好きじゃないんだよね」

そう言うと、それ以上は踏み込んでこなくなった由梨。

気がつけば、僕たちの交際期間は3年になっていた。

その間に特に大きなケンカもなく、お互い一緒にいても、僕は本を読んだり、仕事をしたり、由梨はスマホやドラマを見たりと、各々好きなことをしている。

この関係性が、とても心地よかった。

そんなタイミングで、表参道でよく通っている店が、福岡にできることを知った僕。だから何気なく、由梨を福岡旅行へと誘ってみた。

「由梨、来月福岡でも行く?行きたいレストランがあって」
「うん、行きたい!」

僕たちは2泊3日で福岡へ行くことになったのだが、この旅行で僕の中で何かが変わったのだ。


A2:自分だけではなく、親のことも気にかけてくれた点。


あっという間に福岡へ行く日となり、僕たちは羽田空港から福岡へと飛び立った。到着してまずはホテルへ向かい、少しのんびりしてから、初日のディナーへと向かう。

この日、僕は事前に『L’AS FUKUOKA』を予約していた。青山にある人気店が福岡に、2号店をオープンすると知り、訪れようと思っていたからだ。



「ここって、青山のお店と一緒?」

由梨も、到着した瞬間から嬉しそうにしてくれている。

「そうそう。新たに福岡にもオープンしたんだよね」
「駿って、本当にセンスが良いよね」

改めてそう言われると、照れてしまうが、褒められて嫌な気はしない。

福岡店も青山店の雰囲気そのままに、ライブ感溢れるオープンキッチンを眺めつつ、洗練された空間の中で、美味しい食事が楽しめた。

またコースと一緒にお願いしたワインペアリングも非常に大満足の内容で、由梨はいつもにも増してニコニコだった。

「由梨、今日はご機嫌だね」
「うん、だって嬉しいんだもん」
「喜んでもらえて良かった」

由梨のこの顔が好きだな、と改めて思った。

本人はあまり気が付いていないかもしれないが、嬉しい時は思いっきり嬉しそうな顔をしている。その一方で、悲しい時はとても悲しそうな顔をしているのに、悟られないように努力している。

「美味しかった〜♡ 駿、もう1軒行こうよ」
「そうだね、せっかくだし」

大満足のコース料理を終え、僕たちは店を後にした。



そして翌日。日中は少し仕事をしたりしていたが、由梨も由梨で、勝手にやってくれている。この感じが、とても楽だ。

「一緒にいて、楽なんだよなぁ」

思わず、そうひとりで呟く。あっという間に時間は過ぎ、2日目の夜ご飯を食べている時のことだった。

早く由梨とまたどこかへ旅行をしたくて、僕は前のめりで話を進めていた。

「由梨、次はどこか行きたい場所とかある?」
「え〜どこがいいかな。国内?海外?」
「どちらでも」
「迷っちゃう!でもその前に」

そう言うと、由梨は僕の顔をまっすぐ覗き込んできた。

「今回の福岡旅行、お母様へのお土産とか買った?私、買って行こうかな」

これには、驚いた。由梨が当然のように、僕の母親のことを考えてくれていたからだ。

「あ…やべ、忘れてた」

自分でも、そこまで頭が回っていなかった。しかし由梨が、僕の両親…特に母のことを考えてくれていると知り、思わず胸が熱くなる。

― 結婚するなら、やっぱりこういう子がいいよな。

改めて、そう思った。相手の親のことを、当然のように考えられる思慮深さと愛情の深さ。これはすぐに身に付くものではないと思う。

ほんの一言だけれど、母のことを考えてくれた由梨。

些細なことだけれど、僕の中では結婚を意識するには十分過ぎるほどの大きな一歩だった。


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▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

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男がうんざりする女とは


配信元: 東京カレンダー

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