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父の世話は全部、私がしたのに…〈姉妹による骨肉の財産争い〉。認知症の相続人がいると“介護貢献”を問わず「遺産分割が平等」になるワケ

父の世話は全部、私がしたのに…〈姉妹による骨肉の財産争い〉。認知症の相続人がいると“介護貢献”を問わず「遺産分割が平等」になるワケ

親が亡くなり、遺産や不動産などを相続する際に、相続人に認知症の人がいると事態が複雑になることが多いそうです。認知症を患うと判断能力が低下するので、遺産分割協議や相続放棄ができなくなり、ほかの相続人が困り果てるというケースも少なくありません。そうした相続のトラブルを避けるためには、親が元気なうちに相続対策を講じることが大切です。本記事では、奥田周年氏の著書『新版 親が認知症と思ったら できる できない 相続』(ビジネス教育出版社)より、認知症になる前にしておきたい相続対策のポイントを紹介します。

【認知症の不動産手続き】共有名義の土地が売却できない?

親が認知症で判断能力が低下している場合、アパートなどの不動産の管理、さらに自宅不動産の売却も難しくなります。本人が元気なうちに、任意後見制度や家族信託の活用を考えておきましょう。
 

[マンガ1]所有者に認知症の人がいる場合の共有名義の土地売却

認知症の相続人がいてもできる不動産の手続き

認知症に備える任意後見制度のメリット・デメリット

本人が認知症の場合、自宅の売却だけでなく、アパート経営では契約の更新、解除、入居者退出時の原状回復の工事なども、認知症になってしまうと意思確認ができないため、業務が滞ってしまうことになります。

そこで不動産での認知症対策として、本人が元気なうちにできることは主に2つあります。任意後見制度と家族信託です。

任意後見制度は、後見制度の1つですが、本人が元気なうちに後見人を自分で選ぶことができます。事前に万が一のときの対策を話し合えるのが、法定後見制度との大きな違いです。たとえば、本人に代わって確定申告や税金の納付をやってほしい、アパートの管理を行ってほしいなどの取決めを行います。

居住用不動産についても、任意後見契約の内容に処分の許可を明記していれば基本的には処分できます。任意後見では、家族を後見人に指定することも可能です。ただしその場合、家族の負担が増えたり、報酬をもらいにくかったりするなどの問題もあります。

さらに任意後見制度のデメリットもあります。1つは、契約時に記載していないことはできない点です。途中で契約内容を変えたり追加したりできません。2つ目は任意後見制度の利用には、適切に業務を行っているか確認する後見監督人の選任が必要になります。その費用が月々2万円から6万円かかります。3つ目は、法定後見人にはある取消権という権利がなく、本人がしてしまった契約などの法律行為を取り消すことができません。
 

アパート経営などに利用される家族信託

アパート経営などを行っている場合に、よく利用されるのが家族信託です。これは信頼できる家族に、財産や依頼したいことを託すことで、本人が認知症になってもより柔軟な資産運用・管理を継続できます。費用は信託財産の評価額に応じて0.3%~1%程度です。ただし後見人制度のように月々、亡くなるまで払い続けるよりメリットがあるともいえます。
 

不動産経営、万が一のときに業務を滞らせない事前対策

通常、成年後見制度(任意後見制度を含む)の利用を家庭裁判所に申し込むと、実際に業務がスタートするまでには3か月から半年かかります。その間、業務を放置しては困ることもでてきます。そのような事態を見据えて、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会では、「オーナーの認知症に備えた委任状(管理業務委任状)」を作成しています。

アパートなどの所有者は、認知症への備えとして、家族などを代理人と決めて、管理業務に関する事項、意思を明記した委任状を作成します。そうすることで、万が一のときは、賃貸住宅管理業者に管理を依頼し、賃貸経営を円滑に継続することができます。

所有物件の賃貸借契約締結や解除、修繕工事、原状回復工事などに関する請負契約の締結、そしてこれに関する一切の行為を行う代理権を、オーナーは代理人に授与します。

ただし、この委任状によってオーナーの財産管理を代理人に委託したことではないため、認知症になった場合には成年後見人を選任してもらうことが必要です。(詳しくは公益財団法人日本賃貸住宅管理協会:電話:03-6265-1555)

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