◆SNSで巻き起こったファン同士の応酬
こういった経緯もあり、30人の記者の中にはシュワーバーを1位に選ぶ者がいてもおかしくなかったが、現実は大谷による独壇場。これには一部の熱狂的なフィリーズファンからSNSなどで不満の声も上がった。「まったくのでたらめだ!シュワーバーは大谷よりずっと良いシーズンを送っていた」
「カル・ローリーとシュワーバーがMVPを受賞すべきだった。彼らはともにチームの成功に非常に大きな影響を与えた。大谷とジャッジがまた勝ったのは、MVPがまだ人気投票のコンテストであることを示しているだけだ」
「申し訳ないが、ドジャースは大谷がいなくてもプレーオフには進んでいた。フィリーズはシュワーバーがいなければ今年はプレーオフに進めなかった。定義上、シュワーバーこそ真のMVPだ」
ドジャースとフィリーズはともに豊富な資金力を武器にスター選手をそろえ、毎年のようにワールドシリーズ制覇を期待されるチームだが、今季に関していえば、フィリーズにとってシュワーバーの価値は何事にも代えがたかった。
守備での貢献度がゼロとしてもなお、シュワーバーに1位票が全く入らなかったことに納得がいかないファンがいてもおかしくないだろう。
◆記者が自らの投票内容を公開して話題に
それでもシュワーバーは、30人のうち23人が2位、5人が3位に投票。残る2人は4位と5位に投じたが、二冠王を最も低く評価した人物が自らその素性を明かしたことも、現地アメリカではちょっとした話題になっている。その人物は、カージナルスが本拠地を置くセントルイスの老舗新聞社「セントルイス・ポストディスパッチ」の野球担当主任記者、デリック・グールド氏だ。
グールド氏は自身のXにて、ナ・リーグのMVP結果が発表された直後に手書きのメモを公開。自ら投じたとみられる10人の選手の名前とその順位を記載していた。
当然一番上には大谷の名前があったが、2位にソト、3位にヘラルド・ペルドモ(ダイヤモンドバックス)、4位にポール・スキーンズ(パイレーツ)があり、シュワーバーの名前はようやく5位に登場。
「これが私の最終投票です。BBWAAに提出しました。フィリーズファンの皆さん、愛しています」という煽りともいえるポストが一部のフィリーズファンの怒りを買った。

