◆専門店で売れ筋を尋ねてみた
発売から間もないが、現状はどうなのか。街に出て実態を調査してみた。まずは、サッカー用品の専門店で販売開始初週の売れ行きについて聞いたところ、久保建英のネーム付きが売れているという話だった。
「久保建英、そして南野拓実、伊東純也あたりのネームが入ったものが売れていますね。これまでの傾向でいえば三笘薫も同じように売れていてもおかしくないはずですが、今回は招集されていないせいか、その3人よりは売れていません」
その話から考察すると、今回のガーナ戦やボリビア戦を観戦するサポーターが購入している様子だった。やはり専門店ではこれまでと同じ傾向で、ファンやサポーターを中心に売れているようだ。しかし、これまでと明らかに異なる売れ方をする店舗もあった。
◆「日本観光のおみやげ」としての需要も
一方、新宿駅近くのスポーツ用品店で同様に初週の売れ行きについて聞いたところ、驚きの回答を得られた。「売れ行きは好調といっていいほうだと思います。ただ、購入者の半数以上が外国人なんですよ」
購入者は日本代表のファンやサポーターのみで大半が日本人だと思い込んでいたので、意外な回答に泡を食ってしまった。さらに詳しく聞いたところ、日本観光のおみやげという要因が大きいようだ。たしかに日本国旗もあしらってあり、「I♡JAPAN」Tシャツのような感覚なのかもしれない。
その他には「サッカーをやっている子どものおみやげ」であったり、「自分の普段着用に」といった理由で購入していった外国人もいたようだ。いずれにせよ、吸水速乾性など機能的な良さに加え、デザイン性の良さも評価されたから外国人観光客にも売れているのだろう。
我々がサッカー小僧だったころは、海外の強豪チームに憧れて着用していたものだ。今ではその感覚を外国人が日本代表に抱いてくれるようになった証といえるのではないだろうか。
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前回大会で優勝候補のスペイン代表とドイツ代表を破り、世界的に日本代表への羨望は高まっている。そして、実はファッション性でも一定の評価を得られているようで、“観戦者以外”が着るケースも増えたようだ。
今大会でも前回以上の成績を残すことができれば、当然ながら大きな脚光を浴びる。となると、思わぬユニフォーム需要に拍車をかけることになるかもしれない。
<取材・文/川原宏樹>
【川原宏樹】
スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる

