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相続人11人の遺産、どう分けられる?…保険金の受取人を「相続人」と指定して亡くなった夫→妻は825万円ゲットも、きょうだいは27.5万円ずつ…知らないと損する「死亡保険金」の分配ルール【税理士が解説】

相続人11人の遺産、どう分けられる?…保険金の受取人を「相続人」と指定して亡くなった夫→妻は825万円ゲットも、きょうだいは27.5万円ずつ…知らないと損する「死亡保険金」の分配ルール【税理士が解説】

死亡保険金と「特別受益」の関係

吉田課長「話は変わりますが、贈与についてお聞きします。相続人が被相続人の生前に、たとえば住宅資金の贈与を受けているケースがありますよね。相続税では、こうした生前贈与を考慮した遺産分割の特例があると聞いたのですが?」

はい、それは前掲【「みなし相続財産」の概要】「3.特別受益者の相続分」の規定ですね。これは、生前に多くの財産をもらっていた相続人が、相続のときに不公平にならないようにするために定められています。

具体的には、相続開始時(=被相続人の死亡時)の遺産総額に、生前に贈与された金額を加えた合計額をもとに、以下のいずれかの方法で相続分を算定します。

(1)法定相続分(民法900条)

(2)代襲相続人の相続分(民法901条)

(3)遺言による相続分の指定(民法902条)

そのうえで、すでに受け取っている贈与や遺贈の金額を差し引いた残りが、各相続人の実際の相続分となります。

たとえば、長男が亡くなった父(被相続人)から生前に1,000万円の住宅資金をもらっていた場合、この1,000万円を加えた遺産総額のうち、相続分として3,000万円もらえるはずだったとしても、すでに1,000万円もらっていることから、残りの2,000万円だけが相続できるということになります。

吉田課長「なるほど。では、被相続人が生前に保険料を支払っていた場合、相続人は死亡保険金を受け取れますよね? その保険料の支払いが生前贈与にあたるとすれば、死亡保険金も『特別受益』に該当するのではないですか?」

言い換えると、「死亡保険金は民法903条1項に規定される『遺贈』または『贈与』にあたるのではないか」というご質問ですね。

この点について、平成16年10月29日の最高裁判決では、「養老保険契約に基づく死亡保険金請求権」について、以下の6つの理由から特別受益には該当しないと判断しています。

1.保険金は、受取人が自らの固有の権利として取得するものである。

2.保険契約者や被保険者から承継して取得するものではない。

3.保険金請求権は保険契約者や被保険者の相続財産に含まれない。

4.被保険者の死亡によって初めて発生する権利である。

5.保険料と保険金は等価関係にない。

6.被保険者の労働力の代替としての性質もない。

吉田課長「なるほど。つまり、死亡保険金は相続財産とは別枠で扱われ、特別受益にも該当しないということですね」

死亡保険金については、「500万円×法定相続人の数」までの金額が非課税に

吉田課長「実際に保険金を受け取る場面では、税金の負担も気になります。相続税でも非課税の特例があると聞いているのですが、本当ですか?」

はい、そのとおりです。詳細は前掲【「みなし相続財産」の概要】「4.死亡保険金の非課税枠(相続税法12条)」を参照ください。

この特例は相続人に限って適用されるものですが、死亡保険金については、「500万円×法定相続人の数」までの金額が非課税となります。この非課税枠は、死亡保険金に関する最大の優遇措置といえるでしょう。

多田 雄司

税理士

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