◆“きのこ雲ランプ”騒動が波紋

現時点でNHKは「当該メンバーに原爆被害を軽視、揶揄する意図がなかったことなどを確認」したとして、決定に変更がないことを表明しています。しかし、世論が硬化する展開も予想されます。
この“aespaは問題なし”とする判断に批判が集まっている背景のひとつに、昨年の星野源の曲目変更騒動があります。なぜ星野源は曲目を変えられたのに、aespaは何事もなく出演できそうなのか、という疑問の声です。
星野源は、当初「地獄でなぜ悪い」を披露する予定でした。しかし、これが性加害スキャンダルが報じられた映画監督・園子温氏による同名映画の主題歌だったことを指摘する声が相次いだために、NHKは「総合的に判断して」、星野の歌唱曲を「ばらばら」に変更したという経緯です。
◆aespaと星野源のケースはどこが違う?
では、aespaと星野源のケースはどこが違うのか。整理したいと思います。まず、ニンニンの投稿には、彼女たちの曲やパフォーマンスなどと直接関係する要素がありませんでした。創作のコンセプトに関わる表現や意思の表明でもないし、またそこに原爆を面白がっているという確たる証拠も見いだせません。それゆえに、“疑わしきは罰せず”という話ですらないと言わざるを得ないのです。
一部のネットユーザーはきのこ雲と原爆を結びつけて考えていますが、ニンニンがきのこからスーパーマリオを想像した可能性は絶対にないと言い切れるのでしょうか? もしくは、きのこの山が大好きだとか。
冗談はともかく、今回の指摘には、答えありきでビジュアルや意味を過剰に読み込む傾向がうかがえます。
つまり、今回の紅白出場キャンセル騒動とは、ニンニンがきのこからきのこ雲、そして原爆をほのめかして、日本人の心をもてあそんでいるというストーリーが存在すると思い込んでいる人たちによる暴走に他ならないのです。

