コーヒーとお茶にまつわるBetter Lifeのヒントを集めた、&Premium144号(2025年12月号)「コーヒーとお茶と、わたしの時間」より、編集者、コピーライター・山村光春さんのわざわざ行きたい極私的名店を教えてもらいました。
ひとりでしか行かないカフェ

「店主が抹茶を点ててくれるのですが、その様子を映画を観るように鑑賞するのが好きです。抹茶は八女の星野茶(¥1,600*菓子付き)で、濃厚なコクとほろ苦さがいい」福岡市中央区六本松1‒7‒8‒1‒1F奥 なし 12:00~19:00 木休 Instagram@tsukishiro.ametsuchi

「アメリカの西海岸にある、おおらかでセンスのいいコーヒーショップのような空気感。シューとクリームのバランスが秀逸なシュークリーム(¥650)をぜひ」東京都目黒区駒場2‒16‒4‒1F なし 11:30~18:30 土日10:00~18:00 不定休 Instagram@suho_tokyo

「僕の神戸の目的地です。カリカリとして香ばしく、ひそやかな甘さのスコーン(¥500~)と、家で飲んでも絶対にこうはならない、香り高い紅茶を必ず頼みます」神戸市中央区中山手通7‒2‒1 070‒1768‒1188 営業日時はInstagram@cafe_lichtにて確認を。

「心地いい音楽と手作りのお菓子と、煎りたて淹れたてのコーヒー(¥480~)。喜びと安らぎを感じるインテリアが混じりあった空間が醸す、ささやかだけど特別な空気」福岡市南区長丘3‒2‒30 なし 10:00~18:00 月火、隔週水休 Instagram@patagonianominami

「古い映画館の片隅にある、現実から少し浮いたような小空間で、店主と会話をしながら、こっくりとしたコーヒー(¥600~)を飲む時間にこそ価値があるのだなと思います」長野県上田市中央2‒12‒30 なし 8:00~18:00 月休 Instagram@shigesawa_coffee
〝ひとり喫する〞カフェは、 前向きなひと息をつける空間。
カフェを利用するとき、若い頃はどこか「そこにいる自分に酔うため」だったような気がします。友人との待ち合わせに使ったり、連れていったりすることが多かった。でも今の目的はまったく違います。「今日の仕事が早く終わったら、あのカフェに行こう、そのために頑張ろう」という、馬でいうとニンジンのような役割ですね。ひとりきりで、こっそりと解放感を味わう、「前向きなひと息をつく」ための場所です。今回挙げたカフェはどこも店の佇まいそのものが、ひとりで訪れるにふさわしい面構えをしています。例えば神戸市にある『café licht』には、ひとりで過ごす静謐で甘いひとときが、ひとつも侵されることなくきちんと約束されています。アーチ状の窓から差す、清涼だけど濃厚な光の質も好きです。自宅で飲むコーヒーやお茶には、「これを飲めばリラックスする」など、どこか機能的な役割を求めている気がします。でもカフェではお茶を機能として見ていません。それはあくまでもワンオブゼムで、ちょっとした緊張感や美意識をとらえたいとき、カフェに行きたいと思うのかもしれません。東京・吾妻橋にある『ORAND/OUET』には硬軟のバランスが絶妙なセレクトの本棚があり、きれいな所作のスタッフがいて、調えられたお茶と軽食がある。知と美が混ざりあうことが、こんなにも深い憩いを誘うのだということを、このお店が教えてくれました。どのお店も広さや席の配置、店主の姿勢など、スタイルやディテールはそれぞれまったく違うのですが、「ひとりで喫する」という行動を導いているという点で共通していて、自分にとって、とても大切だと思える場所です。
山村光春編集者、コピーライター
雑誌『オリーブ』のライターを経て、書籍や広告などの編集・執筆を手がける「BOOKLUCK」を主宰。近著は『LOVE SOME STORY BOOK』(ハイタイド)。福岡と東京で二拠点生活中。
合わせて読みたい
LIFESTYLE 2025.11.24 New コーヒー&お茶ラバーの3人が案内する、全国各地のカフェとティーサロンの名店。
FOOD 2025.11.23 New 芸人・出井隼之介さんが案内する、探究と挑戦を続けるコーヒーショップ。
FOOD 2025.11.23 New 日本茶インストラクター・星野孝太さんが案内する、日本茶の魅力を再発見できるティーサロン。

COFFEE & TEA / コーヒーとお茶と、わたしの時間。&Premium No. 144
お気に入りの一杯を手に、ほっとひと息入れる。それは暮らしのなかの句読点のような、心を整えてくれる時間です。深まる秋、今号のテーマは「コーヒーとお茶の時間」。コーヒー、紅茶、日本茶、中国茶、ハーブティー、野草茶…。スタイルのある14組のコーヒー&ティーライフから、おいしく淹れるコツ、使い心地のいい道具や読書案内、訪ねたい名店まで、コーヒーとお茶にまつわる Better Lifeのヒントを集めました。
andpremium.jp/book/premium-no-144

