
日本では季節の変化を敏感に感じ取り、年中行事や習わしに添った植物を暮らしに取り入れてきました。
「二十四節気の花あしらい」では難しいルールにとらわれず、気軽に季節を感じられる花を楽しむテクニックを、第一園芸のデザイナー・志村紀子がご紹介します。
2025年9月23日から二十四節気は秋分に
「秋分」は、二十四節気の中で四季の節目となる重要な節気です。この日は昼夜の長さがほぼ同じになり、ここから日に日に夜が長くなっていきます。
今回のテーマは「スプレーマム」。
菊は一年中出回る花ですが、特に秋は菊の最盛期です。
スプレーマムは菊の一種で、アメリカで品種改良が行われた、一本の茎からいくつもの花が付く、さまざまな表情が楽しめる花です。
秋の季節にぴったりな、スプレーマムを使った花あしらいをご紹介します。

色あわせを楽しむ
小さなポンポン咲きが可愛らしい「カリメロ」というスプレーマムを、ネイビーの水差しにざっくりと投げ入れました。
深みのある色あいの組み合わせは、秋らしさ満点です。
スプレーマムは日持ちのよい花ですが、葉が水に浸かると水が濁りやすくなり、全体が傷む原因になります。
水に浸かる部分にある葉は、大きな葉だけでなく、菊特有の細かな葉もすべて取り除きましょう。
水を替えるタイミングで茎を切り戻し、ぬめりが出ていたら洗い流すか、深めに切り戻すと花持ちがよくなります。

白い陶器の水差しには、ピンクの濃淡の「カリメロ」と「ドリア ピンク」、3種類のスプレーマムを生けました。
同じ品種でも、色合いやサイズが異なる花を組み合わせると、とても複雑で見ごたえのある花あしらいになります。
たくさんの色を使う場合は、白い花器が万能。白いキャンバスに描くようなつもりで花あしらいを楽しみましょう。

一輪に変化を
同じ形で色が異なるガラスの花器に、それぞれ「ドリア ピンク」「カリメロ ピンク(濃)」「カリメロ ピンク(淡)」を一本ずつ生けました。
スプレーマムは一本でもボリューム感がありますが、一輪挿しを集めると、とても華やかに変化します。
花色と花器の色を変えると表情が変わるので、お手入れのタイミングで花器を交換してみるのも楽しいものです。

淡いサーモンピンクのスプレーマム「セイフォリア」を、華奢なガラスの一輪挿しにあしらいました。
スプレーマムは葉の状態がよくない場合があります。そんなときは、思い切って葉をすべて取り除き、違う葉を添えてみましょう。
ここではアイビーの葉を添え、さらに茎の固定を兼ねて金色のソフトワイヤーを軽く巻きつけ、アクセントにしています。
全体が少し物足りないときや、花が固定しづらいときに試していただきたいテクニックです。

