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宮古島からタイへ、“二度の移住”を決断した60代男性の紆余曲折「人生はいつでもやり直せる」

宮古島からタイへ、“二度の移住”を決断した60代男性の紆余曲折「人生はいつでもやり直せる」

◆「いま動かなければ一生後悔する」単身で宮古島へ

伊良部島
伊良部島で民宿を始めたころ(本人提供)
状況が大きく動いたのは54歳のとき。山本さんの母が脳梗塞で倒れ、3か月後に亡くなった。つづいて母の49日には肝臓がん末期だった父も追うように亡くなった。両親を見送り、山本さんは“人生の残り時間”を強く意識するようになったという。

「“いま動かなければ一生後悔する”と感じました。そこからは宮古島への移住に向けて、大阪での仕事を2年かけて整理し、妻に事業を引き継ぎました。最初は妻にもいずれ一緒に宮古島に住んでほしいと伝えたのですが、互いの生活スタイルや仕事の都合もあり、別々の道を歩むことにしました。『あなたのことを甘やかしすぎた』なんて冗談交じりに言われました(笑)」

山本さんは単身で宮古島へと渡り、30年の結婚生活を一区切りとした。移住直後はベビーリーフ農園やレンタカー屋でアルバイトをしながら、島の人との関係づくりから始めた。バーに通い、島民とお酒を飲みながら距離を縮めていったのである。

しかし、民宿オープンの計画はすぐにはうまくいかなかった。

「すでに土地も目星をつけ、設計図もあったのですが、インバウンドバブルが始まった頃で宮古島の土地も家賃も軒並み上がっていました。同時にホテル建設ラッシュで建築費も高騰し、新築で民宿を建てることはとてもできませんでした」

転機が訪れたのは、宮古島と伊良部島を結ぶ伊良部大橋の開通だった。

「伊良部島に気軽にアクセスできるようになり、通ううちに築45年の古民家を見つけたんです。すぐに借りて1年かけて改装し、1階を自宅に、2階で2部屋だけの民宿を始めました。キッチンを自由に使えて、ゆんたく(沖縄の方言で「おしゃべり」)できる、昔ながらの家庭的な宿として、ついに念願のオープンを迎えられました」

とはいえ、離島暮らしで苦労はなかったわけではない。

「伊良部島の佐良浜はいわゆる漁村で周りは漁師さんばかり、なかなか馴染めませんでしたが、そこで漁協を取り締まっている女性と仲良くなったんです。伊良部島って観光客が来るのは夏のシーズンだけなんです。そこで冬をどうにか盛り上げられないかとなったとき、その人から『内地から修学旅行の高校生を受け入れたいのでやってくれないか?』と話を持ちかけられました。それを実行したら『私、ナイチャー(沖縄の方言で「本土の人」)は好きじゃないけれど、アンタは好き』と言ってくれたんです。そこから漁師たちの間にも評判が広がり、仲良くなれましたね」

◆タイ旅行をきっかけに第三の人生に「海外移住」を決意

伊良部島
ゲストハウスを買い取り、伊良部島に民宿をオープンさせた(本人提供)
夏は観光客、冬は修学旅行民宿の流れを定着させたことで、伊良部島での経営は順調であった。しかし、2020年に入ると、世界はコロナ禍に襲われる。

「うちの民宿も例外ではなく、観光客は激減しました。ただ、ここでも思わぬチャンスが訪れたんです。近所のゲストハウスのオーナーが病気になってしまい、コロナ禍も重なったことで宿を手放すと言われたんです。それを買い取って、賃貸ではない自分だけの民宿をオープンできることになりました」

念願の“自分の宿”を手に入れたものの、当面の収入源は別に確保する必要があった。山本さんは、補助金や空港でのPCR検査のアルバイトをしながら生活を支えた。

観光客が徐々に戻ったのは2023年の春ごろ。それまでの間、山本さんは島の生活に慣れ、地元の人との交流も深めていた。そんな折、宮古島のゴルフ仲間とバンコク旅行に行ったことが、次の大きな転機となった。

「タイに行ったときに、YouTubeでいつも見ていたパタヤに行ってみたら、一目で惚れました。中心地は騒がしいイメージですが、少し離れると長期滞在者やリタイアメントした人が住むエリアもあって。そこで過ごしているうちに『ここで老後を過ごしたい』と思うようになったんです」

もともと、年金がもらえる年齢になったら引退すると決めていた山本さん。当時63歳、第三の人生へと向けての準備を始めたのである。

「パタヤ移住にあたってはビザ取得に少し苦労しましたが、現地在住のYouTuberや現地の日本人が集まる飲み屋でつくった知り合いを頼りにしました。そして今年、民宿を畳み、ついに念願のパタヤ移住を果たしたんです」


配信元: 日刊SPA!

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