◆ミラー越しでも分かるほど怒り狂う高齢ドライバー

「後方から車が近づいてきました。車線をはみ出しながらプレッシャーをかけてきたんです」
対向車線はさほど混雑していなかったが、カーブが多くなかなか追い越せない状況だったと、北田さんは振り返る。この状況が10キロほど続いたという。
「後方の普通車を確認すると、乗っているのは高齢のご夫婦でした。最初は薄ら笑いを浮かべながら車間距離を縮めたり離したりしてきました。そして、だんだんと怒りの表情に変わり、イライラが私に伝わってくるほどだったんです」
ミラー越しでも分かるほど、北田さんに向かって怒鳴りつけているようだった。助手席の女性も同様の表情をしていたそうだ。
「当初は、『何か急ぎの用事があるのかもしれない。譲りたいけどよいポイントがない』と思いながら、申し訳ない気持ちだったのですが……。怒りの表情を見た瞬間に、『これ(交通違反)を許してはいけない!』と思い返しました」
北田さんは、速度制限である60キロのまま走り続けたという。その後、登坂車線に入ったところで、高齢夫婦が運転する車に走行車線を譲ったとのこと。
◆地元では“取り締まりポイント”で有名な坂道だった
「譲った後は、イライラのすべてを吹き飛ばすように猛スピードで駆け抜けて行きましたよ。実はこの登坂は、スピード違反の取り締まりを行っていることで有名だったんです。私も、坂道の途中で警察官がいるのを確認していました」「おそらく、あおり運転をした車は、この地区の事情を知らなかったのでは……」と、北田さんは話す。そして、しばらく進むと……。
「バッチリ警察の御用になり連行されていました。この地区の取り締まりポイントを知っている人であれば、登坂車線の手前で減速するはずです」
あおり運転をしてきた夫婦は、本当に急ぎの事情があったのかもしれない。そのため、北田さんは夫婦が捕まってよかったとは思わないという。しかし、あおり方はひどく、北田さんも怒りを抑えるのに必死だった。「罠に引っ掛けるつもりはありませんでしたが、スカッとしました」と締めくくった。
<取材・文/chimi86>
【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

