◆世界史の視点で「AI騒動」を考える
実は、過去にもAIのように画期的なかつ実用的すぎる発明が、既存権力や既存の価値観を大きく揺らがした例は、既に存在します。それこそ「銃火器の登場」。13世紀あたりまでの戦争と言えば、もっぱら近接戦闘が主。
そのためには、金属製の高価な武具を揃えたり、それなりの時間を武術の鍛錬に充てたりしなければいけません。そこで、騎士階級は己の特権性を守ってきました。
しかし、14世紀・15世紀頃から戦争において大砲や火縄銃など銃火器が使われるようになりました。
もちろん現代ほど威力を持ち合わせていないものの、「狙って引き金を引けば、あとは銃弾(砲弾)が勝手に仕事をしてくれる」「遠距離攻撃なので、従来の戦術が通用しなくなった」ことは、騎士階級の没落を招いたのです。
結果として、今でも剣術などは生き残っていますし、軍隊では一通りの格闘術も学びますが、銃の優位性は一層際立っているように見える。騎士階級の反抗もむなしく、技術革新の波には抗えなかったのですね。
◆ペーパーテストに執着するとどうなるか
となれば、おそらくこれから起きることもこれと同じ。つまり、従来のペーパーテストに特化した人材や、知識の詰め込みによって実績を生んできた旧式の学習塾・進学校などは、軒並みAI利用を禁止するでしょう。場合によっては「AIなんて価値がない」とか「自らの手で生み出したものこそ価値がある」と唱えて、反AI運動を展開するかもしれません。
ですが、この波の裏で、偏差値下位~中位層の中でも目ざとい学校の先生方は、虎視眈々と下剋上を狙って、AIを活用できる人材の登用と育成を進める。
また、トップオブトップの学校は、生徒も先生もこうした技術に明るい場合も多く、こちらも首位陥落は起こりにくいでしょう。
結果として、10年~20年後には、今はパッとしない学校から大量の海外大進学者が排出されるようになり、ペーパーテストに執着する時代に取り残された学校は、せこせこと参考書を解かせて旧式の知識偏重人材を生み出し続ける。
そんな未来が、なんとなく見えてきます。

