いつまでも輝く女性に ranune
ちょんまげで高座に上がる「異色の落語家」が、東海道五十三次を落語しながら旅したワケ

ちょんまげで高座に上がる「異色の落語家」が、東海道五十三次を落語しながら旅したワケ

◆尊敬する2人に「行け」と言われたのが、旅の決定打

──普段の女王殿下は、どのようなお方なんでしょう。

志の八:ビックリするほど気さくな方ですよ。我々からしてみたら天上人みたいな存在だけど、庶民的な感覚もお持ちですし。誰とでも分け隔てなく接してくださる素敵な方です。

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──つまり、尊敬する2人に「行け」と言われたのが旅の決定打だった。

志の八:そうなるのかな。出発日が近づくにつれ、面倒くさいし、不安だしどうやったら逃げられるかなって考えてた(笑)。でもさ、出発の10月1日、朝4時の日本橋に彬子さまが見送りに来てくださったんだよ。菅笠(すげがさ)に寄せ書きもしてくださって。「三条大橋で待っています」という言葉は旅路の心の支えになりました。他にも旗を立てて歩いたらどうか?とかアドバイスもしてくださって。

──すごく親身になって考えてくださってますね。

志の八:そうなんだよ。ちゃんとバズって恩返ししないとと思いますけど、これがなかなかバズらない(笑)。

──各宿場で行った落語会は、事前に場所が決まっていたわけではないんですよね?

志の八:最初のほうと後のほうも何か所かは決まってたけど、行き当たりばったりも結構ありました。道中を歩きながら知り合いや会場に電話をして、アポ取って。場所を決めるのも大変だけど、それより「お客さんがゼロだったらどうしよう」って毎回不安で。

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──実際の集客はどうでした?

志の八:宿場によっては100人近く来てくださったり、お寺さんでやった時は、ご住職が檀家さんに声をかけてくれて、本当にありがたかった。

──道中は皆さんの励ましの言葉が力になったり?

志の八:なりましたね。歩いて疲れてきた時なんて特にね。一瞬疲れを忘れるんだよ。


◆厳しい師匠が初めて“褒めてくれた”

──旅を終えた後は、師匠に連絡しましたか?

志の八:電話で「着きました」と報告したら、「よかったなぁ。ちなみに落語は何か所でやったんだ?」って聞かれて、俺が言ったこと全然覚えてないんだよ(笑)。「五十三次全部です!」と答えたら「それはすごいなあ」と褒めてくれました。

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(左)立川志の春
──師匠にそれを言わせたのはすごい。僕らは、師匠に褒められたことないですから。ただね、今回兄さんが褒められたのは「東海道五十三次を歩いた」という結果についてで、落語そのものは、別に褒められてないから。

志の八:細かく説明しなくていいんだよ! でも師匠に落語を褒められたら「あがり」みたいなところがあってちょっと怖い。ずっと褒められないほうが精神的にいいんじゃないかなって今は思っているくらい(笑)。

──そう思ってるみたいなんで褒めたの取り消してください!って師匠に言っておきますね。でもなんだかんだ言って嬉しかったはずです。具体的にどこを褒められたと思います?

志の八:今回の旅はさ、東海道を自分の足で歩き落語で繋いでいったでしょ。そこで出会った人たちが「また来てほしい」って言ってくれて。旅は終わったけど、その人たちとの関係はこれからも続くというか。そこを褒めてくれたんじゃないかな。


配信元: 日刊SPA!

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