人生後半の選択を支えるための現実的な改善策
では、佳代さんが再び安定した暮らしを取り戻すためには、どのような方法が考えられるのでしょうか。ファイナンシャルプランナーとして、現実的に取り組める選択肢を整理します。
「働いたことがなくて……。もう62歳ですし、雇っていただけるのかわからなくて」
「同じような方、多いですよ。まずは短時間の仕事から始めてみませんか」
1.月数万円の収入でも生活を大きく改善できる
時給1,100円のパートで週3日、1日4時間働けば、月の収入は約5万2,800円。年金と合わせれば生活は安定し、食費や医療費を過度に切り詰めるリスクも減ります。
2.公的支援制度の活用
・高齢者向け家賃補助制度
・住民税非課税世帯に向けた医療費助成
・就労準備講座や職業訓練
知らないだけで利用できる制度は多く、特に医療費の負担軽減は大きな助けになります。
3.固定費の見直し
格安SIMへの乗り換えで通信費は月3,000円前後に。電気代の料金プラン見直しで月1,000円程度削減できるケースもあります。生活防衛資金を確保するためには、細かい見直しの積み重ねが非常に効果的です。
4.孤独を軽減する居場所づくり
地域サロン、シニアの料理教室、ボランティア、趣味のサークル……人とつながることでメンタルが安定し、判断力を保ちやすくなるでしょう。生活の質を守るうえで、この要素は見落としてはいけません。家計の立て直しは、数字だけではなく、心の支えがあってこそ前に進めます。
佳代さんは、少しずつパートの仕事を始め、月に1度は友人とランチに行けるようになりました。
「まだ不安はあるけれど、誰かと話すと前を向ける気がします」
そう話す表情は、離婚直後よりずっと柔らかいものでした。
人生の後半戦は、思いがけず大きな課題に直面することがあります。しかし、進むべき方向さえみえれば、少しずつ改善策を積み重ねることができます。自由とは、孤独や不安とセットで訪れるものではありません。適切な支えと現実的な選択を積み重ねれば、第二の人生はもっと明るいものにできるはずです。
必要なのは、いまの不安を誰かに言葉で伝えること。そこから、新しい生活が動き出していきます。
波多 勇気
波多FP事務所 代表
ファイナンシャルプランナー
