自分の身体の声を聴ける人は、医師の話も聴ける
ここで、もう一つの重要な要素に触れておきたいと思います。
医師の話を上手に聴ける人は、同時に自分の身体の声を聴ける人です。身体の変化に敏感で、「いつもと違う」と感じたときに、それを正確に言葉にできる。どこがどう違うのかを自分で整理して受け止められる。これは単なる感受性ではなく、自分の身体を観察する力です。
身体の声を聴くことができる人は、医師の説明も素直に受け止めることができます。なぜなら、身体の中で起こっていることを理解しようとする意識があるからです。自分の感覚と医師の説明を照らし合わせながら、「ああ、そういうことか」と納得する。そのプロセスの中で、医師と患者の思考が一致していきます。
反対に、自分の身体のサインを無視したり、都合の悪い変化を見ないようにする人は、医師の説明も部分的にしか受け取れません。「言われたことがよく分からない」「ピンとこない」と感じる人の多くは、実は自分の身体の声に耳を傾けていないのです。
患者力とは、医師との対話力だけでなく、自分の身体と対話する力でもあります。身体の声を聴き、それに素直に従うこと。それが、病気を早く発見し、治療を円滑に進める第一歩なのです。
助けられる人の共通点
「繰り返し助けられる人」には、3つの共通点があります。
第1に、症状や変化を的確に言葉で説明できる人。
第2に、医師の話をきちんと聴き、理解できたこと、理解できていないことを明確に伝えられる人。
第3に、医師の指示を守り、次の診察で経過を正確に伝える人。
たとえば、めまいを訴える患者が「朝起きたときに一瞬だけ回る」「起床後一時間ほどで落ち着く」「日中は軽快しているが、ふいにまた回ることがある」といった経過をスムーズに説明できれば、医師はその情報から診断を絞り込み、さらに思考を深め、必要な説明に時間を割くことができます。その結果、診断の精度が高まり、治療も円滑に進みます。
このような患者の配慮と協力は、診療の質を確実に高めるのです。
