土地と建物を分けたことで「節税効果ゼロ」に
相続実務士が青木さんの資料をもとに分析したところ、現在の資産構成はこうです。
・土地(個人名義):3億2,322万円
・建物(法人名義):約4,000万円
・現金・株式など:約1億円
・合計資産:約4億円超
・想定相続税額:約1億円超
問題は、「土地」と「建物」が別の名義になっていること。本来、土地と建物を同じ個人が所有していれば「貸家建付地の評価減」や「小規模宅地の特例」など、相続税を大幅に減らす効果が期待できます。
しかし、青木さんのケースでは建物が法人名義のため、これらの特例が一切使えないのです。
その結果、土地の評価は「更地評価(100%)」となり、節税効果はゼロ。
しかも法人との契約内容を見ると、「無償返還の特約」が入っており、法人には借地権も発生していません。
つまり、税務上は「他人が建てた建物があるだけの土地」とみなされ、評価を下げる余地がなくなってしまっていたのです。
地代が安すぎる!? 税務リスクも潜む
さらに専門家の検証で浮かび上がったもう一つの課題が、「地代の設定」でした。
契約書上の年間地代は140万円。
ところが、不動産取引の一般基準から見ると、固定資産税額の5倍が目安とされており、青木さんの土地の場合は年間約337万円が妥当な金額でした。
つまり、現在の地代は一般水準の約4割しかなく、「法人に安く貸しすぎている」と判断されるリスクがあります。
この状態が続くと、税務署から「利益供与」とみなされ、追徴課税を受ける可能性もあるのです。
青木さんは「私がバカでした」とうなだれていました。
