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高齢親の介護相談で「ないです、知りません」と一蹴…地域包括支援センターで直面する〈ケアマネ・ガチャ〉という落とし穴

高齢親の介護相談で「ないです、知りません」と一蹴…地域包括支援センターで直面する〈ケアマネ・ガチャ〉という落とし穴

親の介護という、先の見えない不安な道のり。その成否は、「よきパートナー」と出会えるかにかかっているといっても過言ではありません。それは、複雑な介護制度を知り尽くした「ケアマネジャー」という存在です。しかし、その出会いは「運」や「くじ引き」のような側面もあり、担当者によっては「知りません」と一蹴されることも……。本記事では、社会福祉士の丸山法子氏の著書『定年を意識したら読む本 定年のトリセツ』(ごきげんビジネス出版)より、親の本格的な介護が始まる前に取り組んでおきたい準備と、介護が始まった際に頼れる窓口について解説します。

親の介護が始まる前にやっておきたい「縁づくり」

まだ介護が必要ではないけれど、田舎に住む親の生活が心配、という子ども世代もたくさんいます。帰省したときに「全然元気じゃん」と安心しつつ、ちょっとしたことでつまずいたり、物忘れしたり、詐欺にあって被害額が増えたり、落ち込んだようなため息をつく姿を見ると、不意に「お、いよいよか?」とビクついたりします。

心配ですね。とはいえ、元気でやる気があるなら必要以上に不安がらないでいただきたい。ただ、並行してこれだけは取りかかってほしいことがあります。「縁づくり」です。

言い換えると、人とのつながり、知り合いを増やす。声をかけておけば気にしてくれたり、知らせてくれたりする人を、しっかりつくっておくことは元気なうちからやっておいてください。

縁は4種類あります。

1.地縁

まず地縁。自宅を中心に歩いていける範囲の地域での人とのつながり。自治会町内会、地区社会福祉協議会など地域組織、民生委員、福祉委員。また、コンビニや交番、近所の定食屋さん飲み屋さん、郵便局、学校や保育園、マンションの住民、賃貸物件なら大家さんなど、普段の生活で接点をもつ人とのつながりです。

まずは挨拶から。おはよう、こんばんは、出会ったときにこちらから声をかけて。気掛かりな親のことなら担当地域の民生委員を訪ねて、何かあったら相談したいと申し出ておき、連絡先も伝えておくと助けてくれます。

2.血縁

次に血縁です。血のつながりといいつつ、ここでは家族という意味で婚姻関係も加えてください。

親兄弟、親戚、配偶者の家族、子ども、その兄弟も含めると「家族や親戚」という認識で捉えてみると、意外に頼りになったりもします。これまでの長年の付き合いにもよるでしょう。少なくとも相続人になり得る人には状況を伝えておくのもありかも。

3.職縁

そして職縁。仕事を通じた人間関係です。会社の人、取引先の人、お客さま、気の合う人もいればソリが合わない人もいるでしょう。なかには親友と呼べる人は仕事を通じて巡り合ったり、親友だとか信頼していた人が肩書きがなくなる途端に縁が切れたりするなんてことも。

仕事は人と人とをつなげる接着剤、いい意味で割り切るのも大切です。ですが、結婚相手を見つけるのも仕事を通じて、というケースもまだまだ多い。あなどれません。

4.知縁

さらに知縁です。知り合い、友だち、仲良し、同級生、幼なじみ、サークルのメンバーなど、仕事以外でつながる縁です。似ているのがWEB縁。インターネットを介して知り合う人とのつながり。InstagramなどSNSもあれば、パートナー探しのマッチングアプリ、相談サイトで個人的な話をしたあと、もう一度この人に話を聞いてほしい、という人とのつながりです。

親友はそれほど多くはいらないともいいます。しかし家族のケアとなると話は別です。介護だけでなく、子育てや病気療養、障害やひきこもりなど、生きづらさを抱える家族がいる場合にこうした「縁」は必須です。

では、縁、つながり、つまりソーシャルサポートは、どんな場面でどのように助けられるのでしょうか。

人との縁を活用し、孤立を防ぐ

支援には4つ種類があります。

社会学者ハウスは、「1.情緒的サポート(例:相談にのる)、2.手段的サポート(例:移動の手助けをする)、3.情報的サポート(例:役立つ情報を調べる)、4.評価的サポート(例:相手の行動や意見を肯定する)の4つのうち少なくとも1つ以上を含む個人間の相互交渉」と定義し、ソーシャルサポートによって得られる具体的な機能を重視しています。

具体的にいうと、家族や親戚には相談に乗ってもらい、近所の人に生活の見守りや声かけ、ちょっとした手助けをしてもらい、災害が起きたらいち早く逃げろと教えてくれたり、ケアマネジャーや看護師をしている友人からはこうしたほうがいいよとアドバイスをもらい、あなたのその決断いいと思うよ、自分の思うとおりにやればいいよと励ましてくれたり、気づかせてくれたりする、といったイメージです。

どうでしょう、想像できましたか。制度もサービスも便利ですが、最終的には人に助けられるものです。これを政府は「助け合いのまちづくり」「共助の推進」などと表現しています。なかなかわかりにくいですよね。

つまり、孤立するなよ、身近な人を頼れよってことです。災害が続いているここ数十年、人によって命がつながり、その命が次の命をつないでいくシーンをたくさん見てきたでしょう。

介護も子育ても、家族のピンチ。災害とまではいわないけれど、本人や家族だけではなんともできない苦しい時期がありますので、日頃から人との縁をつないでいくことは一生を通じて忘れてはいけないことと思っていてください。

◆ここまでのまとめ◆

●孤立だけはしないように。身近な人を頼ろう

●上手に支援を受けるマインドとスキルをもとう

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