前任者なし、1人職種でのスタート
──実際に保育園に入ってみて、業務内容はどう感じましたか?
保育業務は初めてで戸惑うことばかりでしたが、事前に見聞きしていた内容と大きく相違はなかったです。一方、看護については、想像していたよりも業務量が多い印象でした。担任を持ちながら、ケガや体調不良の子どものケア、病院付き添い、保護者への連絡がイレギュラーで入ってきます。
また、保健だよりの作成や園内の感染対策、心肺蘇生法などの講習の実施と、多岐にわたる業務内容でした。
──Yさん以外にも看護師はいるんですか?
いえ、私1人です。入職前は看護師を配置していなかったので、前任者もおらず、園長と話し合いながら業務内容を固めてきました。最初はどうすればいいのかわからず、周りの先生方に「以前の職場ではどうでしたか?」「お子さんが通っている園ではどんな対応ですか?」などと聞き回っていました。
また、勤務先のある自治体では年に数回「保育園看護師の会」が開かれています。そこで他園の取り組みを聞いたり、相談したりできるので心強いです。
──未経験で一人職種の環境は大変ですね。保育業務と看護業務をどう両立しているのか気になります。
保育業務がメインで、合間に看護業務をおこなっています。保健だよりの作成や保健指導内容の考案は、自分でスケジュールを組んで事務作業の時間にこなしています。一日の流れは大体以下のとおりで、勤務開始時間は7時と9時30分もあります。

ケガや体調不良は突然起こるものなので、思いどおりに業務が進まないこともあります。泣いている園児を抱っこしている側から、「転んで血が出ています」「なぜか指がパンパンに腫れています」などと園児が運ばれてくるような状況です。
業務のなかでも、こうした救急対応が一番緊張しますし、保護者へのご連絡も園長と相談しながら丁寧さを心がけています。
「1年で辞めても次がある」

──保育園看護師として働くうえで、課題を感じることがあれば教えてください。
私が体調を崩すと対応できる人がいなくなることと、保育士とどうしても視点が違うと感じることでしょうか。考え方の違いから意見が食い違うこともあり、疎外感を覚えることがあります。以前、園長先生に「保育士は子どもたちの良い面を伸ばそうとするが、看護師は悪い状態からどう良くするかを考えるから視点が違う」と指摘されたこともあります。
ただ、異なる考えにも耳を傾けてくれる職場なので、意見を言うのをためらわなくていいのはありがたいです。
──前職での経験が活かされていると思うことはありますか?
病院で予測のつかない事態を毎日のように経験したため、ちょっとのことでは動じません。以前、出勤前に園から電話があり「園児が机の角に目をぶつけて出血している」という連絡を受けました。すっぴんのまま急いで園に駆けつけ、応急処置と病院の手配、保護者への連絡を済ませたことがあります。
内心ドキドキしていましたが、私が落ち着かないと現場はもっとパニックになると思い、冷静さだけは失わないようにしています。
──入職から5年が経ちました。この間に辞めたいと思ったことは?
ありません。もちろん嫌なこともありますが、泣きながら仕事に行くことはないです。病院勤務時と比べてお給料は下がりましたが、残業は月2時間くらいで、人間関係も良好なので、心身ともに健康で働けています。これからも末永く働き続けたいです。
何より、子どもたちがかわいくて「この子たちの命を守るために何をすべきか」を考えられることが幸せです。責任感が伴いますが、先生や保護者も信頼して相談してくれるので、看護師の仕事に就いて良かったと思っています。
3歳児までしかいないので、子どもたちには感染予防のための指導をどう伝えるかなども悩みどころですが、私の手洗い方法をマネしている姿を見ると、きちんと伝わっているんだなと実感します。
──今後、仕事で挑戦してみたいことがあれば教えてください。
保育業務の比重が大きいので、子どもの発達や保育理論を基礎から学び、保育士の資格を取得したいですね。また、精神看護を専攻していた経験を活かして、親子のメンタルケアにも取り組んでみたいなと思っています。
──これまでのキャリアを振り返って、1年目の自分に伝えたいことはありますか?
「1年で辞めても次がある」と伝えたいです。先輩から「2年目になると楽になるよ」と言われていましたが、全く楽になる気配はありませんでした。当時は、この言葉を信じていたのと短期離職への不安から、退職まで半年近く決断できずに苦しんでいました。
風邪などの体調不良のときはすぐ変化に気づきますが、メンタルの不調は医療職であっても気づきづらいです。少しでも異変を感じたら、無理しないでほしいと思います。
また、相談する人によっては、心ない言葉をかけられてしまうこともありました。これまでの自分の頑張りを認めて、まずは自分を一番の味方につけて今後の道を模索できるといいと思います。

