文具のとびら編集部
トンボ鉛筆は、「水性ゲルボールペン モノグラフライト」（税込220円／補充リフィル同132円）を2025年10月30日に発売した（関連記事）。ボール径は極細字0.5㎜と超極細字0.38㎜の2種。インク色は黒、赤、青（赤、青は0.5㎜のみ）。ボディカラーは青白黒のモノカラー（全種）、ブルー、グレー、ピンク、パープル（黒0.5㎜のみ）。にじみにくく、裏抜けしにくい、新開発の速乾ゲルインクを搭載しており、早くも大きな注目を集めているようだ。
今回、トンボ鉛筆にお伺いして、同ボールペンの開発に携わった同社研究開発本部の皆さんに開発秘話などを詳しく訊いたので、その模様をお伝えする。
(写真右から)取締役研究開発本部青木一央本部長 、研究開発本部開発2部稲田智紀部長、同部開発5課森吉政さん、同部開発6課小林亮太さん、同課井藤裕貴さん、同部開発5課小松翼課長にじみにくさと速乾性を両立
当日はまず、福嶋潤一社長からあいさつがあった。同ボールペンの開発プロジェクトは2019年からスタートしたそうだが、社長就任以前にその開発に携わっていたことから、「思い入れのある商品なので、今回市場に出せて大変うれしいです」と語った。
同社では、高価格帯の「ZOOM L1」でゲルインクボールペンを発売しているが、普及価格帯のゲルインクボールペンを発売するのは久しぶりのこと。しかも、ノック式では初の商品となる。ゲルインクボールペンのヘビーユーザーである学生に向けて、「インクの乾きの遅さ」や「インクのかすれ・にじみ」に対する不満を解消し、「小さな文字もにじまず美しく書けるので、ノートがキレイに仕上がる」ゲルインクボールペンを開発した。「水性ゲルボールペン モノグラフライト」は、ゲルインクボールペンの需要が非常に高いという中国市場で2024年5月に先行発売。そして今回、満を持して日本で発売された。
最大の特徴は、にじみにくさと速乾性を両立させた新開発の「モノドライインク」を搭載していること。速乾性に優れた水性染料ゲルインクで、紙に染み込んだインクが浸透しにくい。さらに、高精度ニードルチップとの組み合わせでインク吐出量をコントロールすることにより、にじみや裏抜けを抑制。「ノートに書いたときに、次のページをめくると裏抜けがないのを実感してもらえると思います」（青木本部長）という。
さらに、筆記角度によって線幅が変わりにくい高精度ニードルチップ新開発。ペンを寝かせてもボールが座面から外れにくく、インク吐出量の変化を抑えるほか、筆記角度によって線幅が変わりにくく安定した線幅が得られる。にじみやウラ抜けの抑制効果と相まって、ノートをきれいにする効果が得られる。
また、ノック時ペン先は5.2㎜露出し、「モノグラフ」の思想である“広く明るいペン先”をゲルインクボールペンで実現。スペースの限られる問題集やテストの解答欄にも、細かい文字や図をシャープにくっきりと書き込める。「油性ボールペン モノグラフライト」と同じく、高密度テクスチャーグリップを採用しているので、指先にしっかりフィットし精密な筆記をサポート。ボディは、油性ボールペンを踏襲したデザインとなっているが、このグリップに関しては、「水性ゲルインク」をイメージして透明感のあるものに変更しているという。
インクの粘度が変化するとバランスが崩れるため、インクの品質保持をいかに長くするかに苦労したそうだが、その甲斐もあって「良いインクができたのでは」という。また、「私自身も左利きですが、左利きの人にも向いているボールペンだと思います」（稲田部長）という話も伺った。冒頭で触れたように、同社がノック式のゲルインクボールペンの発売は今回が初めてとなるが、「今後はゲルインクボールペンに注力していきます」（小川貴史取締役マーケティング本部長）とのことなので、今後の展開にも期待したい。
（左から）小川貴史マーケティング本部長と同本部プロダクトプランニング部佐藤和明部長
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