だが、なんでもかんでも真似をする必要はない。既存のものでもいいものは、残していくべきだ。もしMLB流を取り入れたとしても、「合わない」と判断すれば、軌道修正して元に戻してもよいのではないか。
※本記事は、江本孟紀著『長嶋亡きあとの巨人軍』より適宜抜粋したものです。

◆両球団、それぞれの永久欠番の数は?
それにヤンキースの場合、永久欠番に値するだけの名選手が数多くいる。ビリー・マーティンの「1番」、デレク・ジーターの「2番」、ベーブ・ルースの「3番」、ルー・ゲーリックの「4番」、ジョー・ディマジオの「5番」など、一桁台の背番号はすべて永久欠番だ。さらに永久欠番はMLBで最も多い21個(「8番」をヨギ・ベラとビル・ディッキーの2人が選出されているため、人数としては22人)にも及ぶ。(※MLB全球団の共通の永久欠番となっているジャッキー・ロビンソンの「42番」を入れると、永久欠番の人数は23人となる)一方、巨人はどうだろうか。王貞治さんの「1番」を筆頭に、長嶋さんの「3番」、黒沢俊夫さんの「4番」、沢村栄治さんの「14番」、川上哲治さんの「16番」、金田正一さんの「34番」と6人だ。これはNPBではトップの人数であるが、ヤンキースと比べると遠く及ばないうえ、長嶋さんと同じ日に国民栄誉賞に選ばれた松井秀喜の「55番」でさえ永久欠番になっていない。
◆ヤンキースの真似をしてみたものの……
ヤンキースは今昔問わず、「ヤンキースのために貢献してくれた名選手」を永久欠番にしているが、そうではないのが巨人だ。「永久欠番にふさわしい金字塔を打ち立てていないから」といわれてしまえば、それまでの話ではある。だが、巨人とヤンキースで功績を遺した松井や、巨人一筋で2000安打以上を記録した阿部慎之助の「10番」、同じく生え抜きで200勝以上を挙げた堀内恒夫の「18番」は、検討に値するのではないか。
このような議論が巨人の球団内部から出てこないこと自体、私にとっては違和感があるのだ。背番号に対してもっと敬意を払ってほしいという思いも強い。形だけヤンキースの真似をしてもあまり意味がない。

