◆なんでもかんでも「MLB流がいい」わけではない
なかには、「名前なしのユニフォームのほうが、ヤンキースみたいでカッコいい」「MLBを想起させるユニフォームだ」などという人も見受けられるが、私は見栄えよりも、「わかりやすさ」を重視すべきだと思っている。
どんなにカッコよく映るユニフォームであっても、その背番号の選手が誰なのかわからなければ、意味のないことだ。
さらに「現地で観戦していれば、名前がわかるから背番号だけでも十分」という人もいるようだが、当然ながら全員が全員、現地で観戦しているわけではない。テレビ観戦している人のほうが圧倒的に多い。
しかし、地上波での放送は週末を除いてほぼなくなった。いまや巨人の試合を見るとしたら、BSでの放送、あるいはCSの「日テレジータス」、巨人の公式動画配信サービスである「GIANTS TV」。そして、動画サブスクの「Hulu」や、「DAZN」を頼ることになる。
こうした衛星放送や、有料配信サービスに加入していなければ、巨人戦を視聴することができない。その結果、今の巨人の選手たちは、「背番号と名前が一致しない、知らない人だらけ」という事態になってしまった。
◆あの長嶋さんですら「NAGASHIMA」と書かれていた
今の巨人に背番号だけで「誰もがわかる選手」がどれだけいるのだろうか?新たなファン層の開拓という視点で見ると、「選手名鑑やネットで調べないと名前がわからないのならいいや」と、そっぽを向かれることだって十分ありえる。
考えてみてほしい。あの長嶋さんですら、背番号の上に「NAGASHIMA」の文字が入っていたのだ。
「ユニフォームに名前がなくても、後ろ姿だけでわかるほどの成績を残しているのか」と問われて、胸を張って「残しています」といえる選手はどれだけいるのだろうか。おそらく誰も明快に答えられないはずだ。やはり背番号だけのユニフォームは、愚策であるとしか思えない。

