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「自分は弱い存在だ」年収400万円以上の“普通の男”たちに広がる「弱者感の正体」

「自分は弱い存在だ」年収400万円以上の“普通の男”たちに広がる「弱者感の正体」

低年収、非モテ、孤独──。これまで「弱者男性」はこうした属性で語られてきた。しかし今、“普通の男”たちの間でも「自分は弱い存在だ」と感じる人が急増している。広がる負の感情の正体は何なのか。男性たちの心に巣くう“呪い”の正体に迫った。

【弱者感】
じゃくしゃ-かん
自分が社会の中で「劣っている・取り残されている・報われない側にいる」という主観的な感覚。
実際の地位や収入、能力にかかわらず、相対的な劣位感・無力感・疎外感を感じる心の状態。
※編集部作成

◆言葉にならない不安感を感じる男性が増加

新たな生きづらさ 男に広まる[弱者感]
写真はイメージ(以下同)
定職がある。人並みの収入もある。妻も子供もいる。傍目には「普通の人生」を歩んでいる――。今、そんな“普通の男”たちの間で、ある感覚が静かに広がっている。それは「自分が段々と“弱い存在”になっている」という、言葉にならない不安感だ。SPA!が年収400万~699万円の20~60歳の未婚・既婚男性2000人を対象に実施したアンケートでは、実に2人に1人が「自分が弱い存在だと感じる」と回答した。その理由を聞くと、

「強く物事が言えず、同期からも舐められるんです。マウントを取られて、結局回ってくるのは損な役回りばかり……」(42歳・製造業)

「僕は年収500万円台。平均を考えれば恵まれているほうなのかもしれないけど、職場に男性が少なく、仕事では常に肩身が狭い。そのせいでプライベートでも自信が持てない」(39歳・サービス業)

◆負の感情が広まっている理由は…

彼らの多くは、経済的に激しく困窮しているわけでも、周囲から孤立しているわけでもない。にもかかわらず、「弱者感」とも呼ぶべき負の感情が広まっているのはなぜか。その理由を、男性学の第一人者で京都大学名誉教授の伊藤公雄氏が解き明かす。

「これは現代社会の男性たちに広まっている『何かを奪われている』という不安感から来るものだと思います。その意識を生む原因の一つが、多様性を重視する社会の変化や、女性の社会進出に伴う男性の地位の相対的な低下です。かつては男というだけで認められていた社会的地位や経済的優位性が、価値観の変化によって段々と消失していきました。男というだけで履かされてきた“ゲタ”が突然なくなったわけです。

もちろん、多くの男性は『女性の活躍は喜ばしいこと』『多様化するのは当たり前』と考えています。しかし、頭ではそう考えても、心のどこかには旧来の“男らしさ”という感覚が染みついている。そのギャップが『何かを奪われている』という剝奪感情を広めるのです」


配信元: 日刊SPA!

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