食楽web●おいしいローカル部が見つけた地元で愛される老舗の名店。今回は東京・新宿の『追分だんご本舗』をご紹介します。
時代のトレンドとともに目まぐるしく飲食店が入れ替わる都会だからこそ、長く愛される老舗の味は折り紙付きというもの。そんな老舗の中でも、今回は連日客足が途切れない『追分だんご本舗』新宿本店をご紹介します。
お店は新宿駅東口から徒歩約7分、新宿三丁目駅や伊勢丹新宿店からすぐの場所にあります。
商業ビルが立ち並ぶ中に突如現れる和の佇まい。平日昼間でも客足が途切れない人気ぶり創業は1947年(昭和22年)ですが、「追分だんご」自体の始まりはなんと室町時代から。江戸城を築城した太田道灌が高井戸を訪れた際に献上され、大層気に入った「道灌(どうかん)団子」が始まりで、この団子が新宿追分の地で広まり「追分だんご」と呼ばれるようになりました。そして、追分だんごの成り立ちを聞いた創業者が、伝統の味と現代の味覚を合わせ、模索しながら東京名物と呼ばれるまで成長させたのです。
店舗奥の喫茶室では創業当時に作られた木彫りの作品があり、温かみと老舗の雰囲気が漂う出来立ての「大人のみたらし」はここでしか味わえない絶品
喫茶室で味わえる「だんご二本盛り」は基本の5種に加え、団子ごとの追加料金で好きな組み合わせにできるのが嬉しいところ。中でも筆者が是非おすすめしたいのが、「大人のみたらし」と「抹茶あん」のコンビです。
「だんご二本盛り」825円から(税込)。写真の組み合わせは+77円(税込)で楽しめるできたての団子は伸びが良く、それでいてサラッとした口当たりの良さが特徴。必食の「大人のみたらし」には山椒や生七味を加えた特製みたらしダレがたっぷり。一口頬張ると、山椒の爽やかな香りが鼻に抜け、後から唐辛子のほんのりとした辛みや青海苔の香りの余韻が広がります。
色鮮やかな濃緑が目を引く「抹茶あん」は、西尾抹茶を使用した滑らかでコク深い抹茶あんを楽しめる一品。渋みはなく、甘さの中にある苦みが箸休めの塩昆布とも相性抜群です。
季節ごとの団子も選べる。定期的に温かい緑茶を継いでくださる気配りに、つい長居してしまいそう1本ずつ個包装になったおだんごをお土産に
目移りしてしまうラインナップ。種類によっては夕方の早い時間に完売してしまうこともあるのでご注意をずらりと並ぶ種類豊富な団子が目をひく店頭では、大福やあんみつなども販売。どれも1個ずつ個包装になっており気軽に購入できるので、新宿散策の合間にふらっと立ち寄る方や、歴史深い日本の味を求める外国人旅行客の姿も。喫茶室で味わってもよし、家族へのお土産にしても喜ばれます。
あんみつは定番以外も抹茶や季節に応じた独自の味わいが並ぶ [食楽web]室町時代の“道灌団子”からの伝統を受け継ぎつつ、時代に合わせて進化を続ける独創的な味わいは唯一無二。かつて甲州道と青梅道の分岐点であり、交わる場所でもあった新宿・追分の地を表す逸品です。
(撮影・文◎あわchan)
●SHOP INFO
追分だんご本舗 新宿本店
住:東京都新宿区新宿3丁目1-22
TEL:03-3351-0101
営:10:30~19:00(喫茶 平日12:00~18:00(L.O.17:30)/土日祝日11:30~18:00(L.O.17:30))
※商品がなくなり次第閉店
休:1月1日、1月2日
https://oiwakedango.co.jp/
●著者プロフィール
あわchan
「気になったら全部買う!」がモットーのスイーツハンター。旅の目的は専らベーカリー・パティスリー巡りで、パンやケーキを旅先からキャリーケースで大量に空輸してくることも。クリスマスケーキや弁当の開発など、商業施設の商品開発・販促企画に携わる。
2級フードアナリスト
@awa_chaaan
