◆決して順風満帆ではなかった声優アイドル人生
その他、メンバーたちがキャリアの初期に立っていたライブ会場を訪れる幕間の映像もみどころだった。普段から「不仲営業」と自らネタにするi☆Risながら、この映像では珍しく仲良く過去を振り返るトークを繰り広げており、思わず「普通のアイドルグループみたいだ!」とつぶやいてしまったほど。その映像を受けて「あの会場はぴあアリーナMMのセンターステージの半分ほどの大きさだった」などのトークを繰り広げたのち、山北が「当時は手を上げたら天井にぶつかってよく突き指をしていた。それなのに……。今日はこんなたくさんの方が来てくれましたー!」と喜びをあらわに。

「ずっと順風満帆かっていうと、そんなことは全然ありませんでしたよね。売れそうだなって思った時期に、無観客ですって言われたりさ…。13年前の自分は、まさか13年目もぷりぷりのかわいい衣装を着て、こんなにたくさんの人に囲まれアイドルを続けられるなんて思わなかったですよね。それってみなさん一人ひとりがいてくれないと成り立たない。
去年も悔しい思いをして、今年も頑張ろうってなって、埋まったっていう。今日来てくれた一人ひとりのおかげです。ありがとうございます!」
とエモいトークをしたあと、感極まって次の曲振りを前に涙を流してしまった山北。
5年前、無観客のライブで歌った当時の記憶が蘇ったのか、グループ史上最大キャパ会場を埋め尽くす観客を前に歌える喜びを噛み締めていた。
◆「13年やってて今、一番売れてる」奇跡
アンコールでは、ステージ上のモニターに、ファンたちが応援メッセージを書き込む姿を撮った映像と、そのメッセージが映し出され、メンバーたちが「聞いてない!」と口々に叫ぶ場面も。さらに、会場後方のスタンドから「祝☆完売!!!!! To The Next Step☆」という横断幕が開き、よく見るとファンの応援メッセージが書かれた布のパッチワークとなっていた。
「びっくり。完売か~。i☆Risちゃん、13年やってて今、一番売れてるらしいよ!(中略)13年やってきて、まだまだ可能性あるんじゃないの~!」
確かに、メンバーを加えていくタイプではない女性アイドルグループが13年続くことはもちろん、右肩上がりを続けているのは、本当に稀な現象である。
キャリアの初期にアニメ『プリパラ』シリーズというブースト装置があったとはいえ、地道に良いライブを続けてきたこと。そして、メンバーが抜けて新体制となってから、従来のアニメタイアップに加え、メンバーたちの魅力を発信して、新たなグループカラーを築き上げてきたこと。それぞれがソロで独自の道を突き進んでいることなど、すべての積み重ねが奇跡につながっているのだろう。

