◆60万円の情報商材の中身は全部コピペ
ほかにもこうしたAI詐欺はあり、現在“入り口”として増えているのがネット上にあるAIのマニュアルやセミナー。そこから購入者を吸い上げ、詐欺や高額情報商材の購入に誘い込んでいく。被害者の会社員・Tさんは言う。「TikTokで流れてきたAI副業ツールの動画を見て、そのままLINEグループに誘導され無料のオンラインスクールを受講したんです。すると、60万円の教材を勧められ購入してしまいました。内容は生成AIの動画作成でしたが、中身は薄っぺらく、検索したらよそのサイトのコピペ!さらに別のグループに招待され、今度はAIトレーディングの商材を紹介された。カモだと思われたのかも」
詐欺や消費者問題の被害者救済サイト「リーチアウト」編集長の成田雅光氏は言う。
「商材の販売所であるアマゾンのKDP(アマゾン・ダイレクトパブリッシング)では、個人が出版する電子書籍でも、安価に広告が打てるシステムに変更された。SEOや広告を組みわせた宣伝は効果絶大で、結果的に高額情報商材や詐欺が広まってしまった。AIを謳った詐欺は、ハイテクを装っているだけで根本は古典的な詐欺。冷静に内容を聞けば、矛盾やおかしな点はすぐ見つかるはずです」
AIという言葉に惑わされることのないよう注意したい。
◆不安にさせて短期間で判断迫る手法に注意!
![[なんちゃってAI詐欺]に注意せよ](https://assets.mama.aacdn.jp/contents/210/2025/12/1765242061685_50l0q4n3s8.jpg?maxwidth=800)
「AIはまだ法整備が整っておらず、そして知識は人によってかなりばらつきがあります。つけ入る隙を与えてしまうので、詐欺が現在、広がっているのです」
こう話すのは、AI分野の投資詐欺に詳しい弁護士の加藤慶二氏だ。情報弱者は将来に不安を抱きやすくなり、自ずと騙されやすい状況に陥ってしまうと分析する。
「AI詐欺には目新しさがありますが、仕組みは従来の詐欺と変わらないと思います。加害者は、相手を過度に不安にさせた後に短期間で判断を迫る。被害者は不安を煽られ、誰かに相談する間もないまま、『このままじゃダメになってしまう』と騙されてしまうことが多い。特にSNSは詐欺に向いているツールで、加害者は自分の姿を見せずに安全性を保ったまま、DMやアプリで一斉に複数の人に連絡でき、相手を陥れることができてしまう。こうした詐欺の特性を知っておくことが大事です」
技術が進化しても「おいしい話はない」と肝に銘じるべきだ。
【弁護士・加藤慶二氏】
投資詐欺問題について13年間の弁護士経験を持つ。投資詐欺や訪問販売など消費者被害の救済に注力。講演活動も行っている
取材・文/週刊SPA!編集部 写真/時事通信社
―[[なんちゃってAI詐欺]に注意せよ]―

