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被害総額は数億円規模…AIを口実に“最先端っぽさ”で騙す古典的詐欺の被害が拡大中

被害総額は数億円規模…AIを口実に“最先端っぽさ”で騙す古典的詐欺の被害が拡大中

◆60万円の情報商材の中身は全部コピペ

 ほかにもこうしたAI詐欺はあり、現在“入り口”として増えているのがネット上にあるAIのマニュアルやセミナー。そこから購入者を吸い上げ、詐欺や高額情報商材の購入に誘い込んでいく。被害者の会社員・Tさんは言う。

「TikTokで流れてきたAI副業ツールの動画を見て、そのままLINEグループに誘導され無料のオンラインスクールを受講したんです。すると、60万円の教材を勧められ購入してしまいました。内容は生成AIの動画作成でしたが、中身は薄っぺらく、検索したらよそのサイトのコピペ!さらに別のグループに招待され、今度はAIトレーディングの商材を紹介された。カモだと思われたのかも」

 詐欺や消費者問題の被害者救済サイト「リーチアウト」編集長の成田雅光氏は言う。

「商材の販売所であるアマゾンのKDP(アマゾン・ダイレクトパブリッシング)では、個人が出版する電子書籍でも、安価に広告が打てるシステムに変更された。SEOや広告を組みわせた宣伝は効果絶大で、結果的に高額情報商材や詐欺が広まってしまった。AIを謳った詐欺は、ハイテクを装っているだけで根本は古典的な詐欺。冷静に内容を聞けば、矛盾やおかしな点はすぐ見つかるはずです」

 AIという言葉に惑わされることのないよう注意したい。

◆不安にさせて短期間で判断迫る手法に注意!

[なんちゃってAI詐欺]に注意せよ
弁護士・加藤慶二氏
 なんちゃってAI詐欺に騙されないためにはどうすればいいのか。

「AIはまだ法整備が整っておらず、そして知識は人によってかなりばらつきがあります。つけ入る隙を与えてしまうので、詐欺が現在、広がっているのです」

 こう話すのは、AI分野の投資詐欺に詳しい弁護士の加藤慶二氏だ。情報弱者は将来に不安を抱きやすくなり、自ずと騙されやすい状況に陥ってしまうと分析する。

「AI詐欺には目新しさがありますが、仕組みは従来の詐欺と変わらないと思います。加害者は、相手を過度に不安にさせた後に短期間で判断を迫る。被害者は不安を煽られ、誰かに相談する間もないまま、『このままじゃダメになってしまう』と騙されてしまうことが多い。特にSNSは詐欺に向いているツールで、加害者は自分の姿を見せずに安全性を保ったまま、DMやアプリで一斉に複数の人に連絡でき、相手を陥れることができてしまう。こうした詐欺の特性を知っておくことが大事です」

 技術が進化しても「おいしい話はない」と肝に銘じるべきだ。

【弁護士・加藤慶二氏】
投資詐欺問題について13年間の弁護士経験を持つ。投資詐欺や訪問販売など消費者被害の救済に注力。講演活動も行っている

取材・文/週刊SPA!編集部 写真/時事通信社

―[[なんちゃってAI詐欺]に注意せよ]―

配信元: 日刊SPA!

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