◆ドジャース救援陣の窮地を救うことはできるのか
ところが、“温室育ち”の佐々木にとってメジャーの環境は酷すぎた。先述したように、初勝利を挙げた直後の試合で右肩を痛め負傷者リスト入り。新人王候補は大きく期待を裏切り、日米両方のファンから辛辣な声が飛び交った。そしてマイナーでも安定した投球を見せられず、このまま今季は終了かと思われたが、ドジャース救援陣の崩壊が佐々木に新たなチャンスを創出した形だ。
これまでの言動から、佐々木はあくまでも先発にこだわり、リリーフ転向を拒否してもおかしくないイメージがあった。ところが、救援に前向きな姿勢を見せているのは大きな変化、温室から脱出する第一歩といえるかもしれない。
これまで先発一本で、エースとして、スター街道を歩んできた佐々木。ドジャースの残り6試合でおそらく2回は登板の機会が与えられるはず。新たな立場で“期待外れ”と呼ばれた汚名を返上することができるのか。危機的状況に陥っているドジャース救援陣の窮地を救うべく、佐々木が描く大逆転のサクセスストーリーがまもなく幕を開ける。
文/八木遊(やぎ・ゆう)
【八木遊】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。

