いつまでも輝く女性に ranune
【江本孟紀】「MLBに挑戦した選手の出戻り」について考える。現状は「日本のプロ野球を舐めているんじゃないのか」と思えて仕方がない

【江本孟紀】「MLBに挑戦した選手の出戻り」について考える。現状は「日本のプロ野球を舐めているんじゃないのか」と思えて仕方がない

◆MLB挑戦は「僕のわがまま」なのに…

 
 9つしかないポジションを巡る競争が日本以上に激しいのがMLBだ。日本で実績を残した選手たちが次々と渡米する姿を見て、「よし、オレも」と手を挙げたくなる気持ちもわからなくはない。だが、通用しないとわかった途端にすごすごと帰国し、どこかの日本のチームに入団するパターンが多すぎないか。

 こうした選手を見るにつけ、「日本のプロ野球を舐めているんじゃないのか」と思えて仕方がない。

 MLBに挑戦する際の決意表明で頻出するのが、「僕のわがままで行かせてもらう」という台詞だ。一方で日本に帰ってきたときには、青柳しかり「家族を養うために帰ってきた」が、定番フレーズとなりつつある。

「おまえさんは、日本にいたときにどれだけ稼いだんだ? メジャーに移籍したときのお金だってあるだろう」

 こう聞きたくなるものだし、マイナーに落ちれば稼ぎが減るなんて当然のことだ。そんなことくらい、MLBに挑戦したいと考えた時点で知っておくべき情報だ。

◆「上辺だけの綺麗ごと」ではなく…

長嶋亡きあとの巨人軍 (扶桑社新書)
長嶋亡きあとの巨人軍 (扶桑社新書)
 いざ失敗すると、自身のプライドを優先するあまり、心にも思っていない、上辺だけの綺麗ごとを口にするのである。そんな建前を言うくらいなら、はっきり言い放ってほしい。

「自分のわがままを球団に受け入れてもらってMLBに行かせてもらいましたが、マイナーでやるつもりはまったくありません。なので、お金を稼げる日本にとっとと帰ってきました。みっともないとは思いつつ、待遇面では日本のほうがマイナーよりも格段に良いですから」

 自分が置かれた状況を包み隠さず公表するほうが、よほど誠実じゃないかと考えているのは、はたして私だけだろうか。

<談/江本孟紀>

【江本孟紀】
1947年高知県生まれ。高知商業高校、法政大学、熊谷組(社会人野球)を経て、71年東映フライヤーズ(現・北海道日本ハムファイターズ)入団。その年、南海ホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)移籍、76年阪神タイガースに移籍し、81年現役引退。プロ通算成績は113勝126敗19セーブ。防御率3.52、開幕投手6回、オールスター選出5回、ボーク日本記録。92年参議院議員初当選。2001年1月参議院初代内閣委員長就任。2期12年務め、04年参議院議員離職。現在はサンケイスポーツ、フジテレビ、ニッポン放送を中心にプロ野球解説者として活動。2017年秋の叙勲で旭日中綬章受章。アメリカ独立リーグ初の日本人チーム・サムライベアーズ副コミッショナー・総監督、クラブチーム・京都ファイアーバーズを立ち上げ総監督、タイ王国ナショナルベースボールチーム総監督として北京五輪アジア予選出場など球界の底辺拡大・発展に努めてきた。ベストセラーとなった『プロ野球を10倍楽しく見る方法』(ベストセラーズ)、『阪神タイガースぶっちゃけ話』(清談社Publico)をはじめ著書は80冊を超える。
配信元: 日刊SPA!

提供元

プロフィール画像

日刊SPA!

日刊SPA!は、扶桑社から発行する週刊誌「週刊SPA!」が運営するニュースサイトです。雑誌との連動はもちろん、Webオリジナルの記事を毎日配信中です。ビジネスマンが気になる情報を網羅!エンタメ・ライフ・仕事・恋愛・お金・カーライフ…。ビジネスタイム、プライベートタイムで話したくなる話題が充実!

あなたにおすすめ