利益率においては競合の「はなまるうどん」を大きく引き離しています。丸亀製麺の強さの背景には、消費者の意識の変化と、会社による戦略的なサービス力の向上があります。
数多ある飲食店の中で丸亀製麺が選ばれているのはなぜなのでしょうか。

◆「丸亀製麺」と「はなまるうどん」の店舗数の差は2倍に
国内における丸亀製麺の2026年3月期上期の売上高は前年同期間比9.6%増の713億円、事業利益は同11.4%増の126億円でした。営業利益率はおよそ18%。はなまるうどんの2026年2月期の営業利益率は9%でした。はなまるうどんはコロナ禍を迎える前の利益率が2%程度であり、収益力は著しく向上しています。しかし、丸亀製麺の勢いには追いついていません。丸亀製麺は今期上期に16店舗を出店し、国内は873店舗に。通期で900店舗近くまで拡大する計画です。はなまるうどんは上期に10店舗を出店。418店舗となりました。丸亀製麺は2倍以上を出店しています。
丸亀製麺の強さは、値上げ後も客離れを起こさなかったことにも表れています。2025年1月に価格改定を実施。しかし、4月から10月までの既存店の客数は2%増加しています。丸亀製麺は新店のオープン時に期間限定の無料サイズアップなどを行いますが、既存店はオープンから一定の期間を経たものを指します。
つまり、新店オープン効果が働いていないにも関わらず、客数は増加しているのです。しかも、丸亀製麺は2022年から4年連続で値上げを行っています。
丸亀製麺が好調を維持している理由は2つあります。1つは提供するサービスが今の時代にマッチしていること。もう1つは顧客が期待する食体験に追いつく努力を続けていることです。
前者から見ていきます。
◆消費者は顧客体験において何を重視するのか?
経営コンサルティングのKPMGは顧客体験を可視化するため、独自のメソッドである「Six Pillars(優れた顧客体験を構成する要素)」に基づく、顧客体験に関する調査を定期的に行っています(「生活者に支持される顧客体験に関する調査」)。2020年における顧客体験で、最も重視される要素は「利便性」でした。しかし、2021年には5位までランクダウン。1位になったのが「パーソナライズ」です。そして「パーソナライズ」は4年連続で1位を獲得しています。
2021年以降、消費者は自分に最適化されたサービスを求めるようになりました。そして飲食においてはこの「パーソナライズ」が、全業種の平均よりも値が大きくなることが分かっています。つまり、消費者は飲食体験において、トッピングなどで自分好みにアレンジできるかどうかをより重視しているということです。

