いつまでも輝く女性に ranune
朝の通勤電車で席取り合戦が勃発、30分間の“座れる時間”にかける執念

朝の通勤電車で席取り合戦が勃発、30分間の“座れる時間”にかける執念

◆視線を外さない…高校生の“無言のプレッシャー”


電車で移動する人々
 佐久間健さん(仮名・30代)は、ある朝の通勤電車で奇妙な視線を感じたという。

「座ってスマホを見ていたら、隣の男子高校生が画面をのぞいていました。しかも堂々と……」

 スマートフォンの画面をスクロールするたびに、高校生の目線も動いた。

「もう、“完全に見てるよね?”って思いました。あそこまで正面からのぞく人ははじめてでした」

 佐久間さんはたまらず、「なに?」と聞くと、高校生は真顔でこう言ったのだとか。

「いや、別に」

 その後は沈黙が続いたが、再び視線を感じたようだ。

「今度はスマホじゃなくて、私の顔をじっと見るんです。あまりにも真剣な目で、正直ちょっと怖かったですね」

 思わず見返すと、高校生は真面目な顔で言ったという。

「誰かに似ている感じがして……」

 突然の発言に、佐久間さんは言葉を失った。

「誰に似てるんだよって思いました(笑)。しかも距離が近いし、肘も何回か当たってくるし、落ち着かない時間でした」

 駅に着くまで、会話はそれきりだった。結局、誰に似ているのかはわからないまま……。

「悪気はなかったんでしょうけど、人との“距離の取り方”ってむずかしいですよね。ほんの少しの距離感の差で、こんなにも疲れるんだなと思いました」

<取材・文/chimi86>

【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
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