今年は2年ぶりにフルゲート18頭が集結。G1を3連勝中のフランス馬カランダガンに注目が集まるが、やはり速い時計が出る東京の高速馬場なら日本馬が中心だろう。
直近3年の日本ダービー馬(タスティエーラ、ダノンデサイル、クロワデュノール)や、カランダガンを含めたG1ウイナーは計8頭。そのうち4頭がG1を複数回勝利しており、近年屈指のハイレベルなジャパンCを見ることができそうだ。
◆3歳馬「マスカレードボール」の真価

メイショウタバルがつくった超スローペースを、マスカレードボールは中団で追走。瞬発力勝負となった最後の直線で鋭い末脚を繰り出し、同世代の皐月賞馬ミュージアムマイルらの追撃を振り切った。
「とてもレベルが高い(馬)ですから、またG1を勝てると思います」
レース後にルメール騎手がコメントしたように、早くもそのチャンスが訪れた。この秋のG1シリーズは、菊花賞のエネルジコから1番人気の馬が4連勝中。ライバルとなり得るクロワデュノールが凱旋門賞帰り、ダノンデサイルも海外遠征帰りとなれば、マスカレードボールがあっさりと勝利を収めても驚かないだろう。
ただし、管理する手塚貴久調教師はジャパンCの舞台設定に関して、「秋の天皇賞と比べると良いとは言えないかなと思っています」と不安を口にしている。具体的には「馬場入りしてから返し馬に行って、スタンド前で輪乗りをしてゲートインするまでのシチュエーションが彼にはあまり向かないのかなとは思っています」とやや弱気なコメント。
それでも、「動き自体は良かった」と状態面に関しては前走時を維持しているとみていい。やはり、充実一途のマスカレードボールが1番人気に推されるのは間違いなさそうだ。
◆データが示す“1番人気3歳馬”の不安材料
もしマスカレードボールが1番人気に支持されれば、海外勢を含めて3歳馬としてはレース史上11頭目となる。ところが、過去に1番人気に推された3歳馬10頭は【1-1-3-5】と成績は低調。半数は馬券圏外に消えていて、勝ったのは歴史的名牝のアーモンドアイだけである。7年前のアーモンドアイは秋華賞から中6週と比較的レース間隔があったが、今回のマスカレードボールは天皇賞・秋から中3週。同馬にとって最も間隔の短かった皐月賞→ダービーの中5週よりもさらに短くなる。陣営も“精神的な難しさ”がある馬と認めているように、懸念事項は少なくない。
また、天皇賞・秋→ジャパンCを連勝した馬は過去に6頭しかおらず、そのすべてが4歳以上の名馬ばかり(1999年スペシャルウィーク、2000年テイエムオペラオー、2004年ゼンノロブロイ、2020年アーモンドアイ、2023年イクイノックス、2024年ドウデュース)。
G1をまだ1勝しかしていないマスカレードボールが、いずれこれら名馬と肩を並べるかは何ともいえないところだろう。

