◆車内で堂々と通話「いま新幹線、いや、もう出た出た!」

指定席に着席してほっとしたのも束の間、隣席の男性が発車と同時にスマートフォンで通話を始めたのだ。
「いま新幹線、いや、もう出た出た!」
男性の声は普通の会話レベルだったが、車内の静けさの中では際立っていた。周囲の乗客がチラチラと視線を向けるなか、車内アナウンスで「通話はご遠慮ください」と伝えられたにもかかわらず、男性は気にする様子もなく会話を続けた。
◆イヤホンなしで動画を再生
通話だけでも迷惑な状況だったが、さらに男性はノートパソコンを開き、イヤホンを使用せずに動画再生を始めた。音量は大きくなかったので佐伯さんは注意しようか迷ったが、トラブルに発展する可能性もある。結局、声をかけることはできなかったという。同じ車両の乗客の中には、不快感から別の車両へ移動する人も現れた。佐伯さん自身も指定席料金を払っていたが、途中で静かな自由席へ移らざるを得なくなった。
「指定席代を払っているのに、こうして気をつかうはめになるのは残念でした」
その後、車掌が巡回してきたタイミングで、佐伯さんは指定席の状況を伝えた。車掌の注意が功を奏したのか、ようやく車内は静かになったのだった。
こうした注意するか迷うレベルの“小さなマナー違反”ほど、じつは厄介だったりする。

