◆モットーは『媚びない』、『ナメられない』、『すかさない』の三箇条
ーーさて、この2025年はソロアーティストとして“3度目のデビュー”を果たした一年でしたね。気持ちの面でも変化を感じる機会も多かったのでは？野島：うーん……。いい意味でも悪い意味でもやりがいを感じることが増えましたね。ソロでステージに立ったらマイクを持って歌うのは私だけ。できたことも、できなかったことも全て自分の責任100パーセント。MCも調子がいいときは会場のボルテージが上がるし、あまり良くないなと思うとみなさんの反応がリアルにわかる。克服するには場数だなとめちゃくちゃ思いました。
ーー今まではグループ活動が主でしたから大きな変化ですね。
野島：ソロデビューしたての頃は一人でステージに立っていることに慣れないというか、ソロアーティストに成り立ての気持ちでいたんですけど、夏を迎えていろんな音楽イベントに出させていただいてから、経験値がたまったのか結構肝が据わったんですよね。場数を踏んだことで一回ごとのステージを楽しめるようになったし、ステージ毎に煽りのパターンや、MCのやり方を変えてみたりとか。あとはお客さんの数で動じることもなくなりました。「聴いてくれる人が例え何十人だとしても、私は自分がやるべきことを100パーセントやる！」という感覚を持てるようになりました。本当にメンタルが鍛えられましたね。
ーー前回お話を伺ったときはソロ活動に身構えてる感じでしたが、今は全然その感じがなくなったなと思います。
野島：本当ですか？ 嬉しい！ 自分の中でも結構変わった部分は、物事をドーンと構えることができるようになったこと。あとは媚びないこと（笑）
ーー媚びない（笑）
野島：「媚びない」、「ナメられない」、「すかさない」っていう三箇条は今年の自分のモットーだったんですよ。これまでの自分はカッコつけたりとか、見栄を張りたくなったりとかしていたんですけど、最近は等身大の自分を素直に見せるのもなんか人間らしいなと思えるようになって。路上ライブでもMCで「本当はもっと高みを目指しているんですけど、まだまだ自分には至らないところもあるので、こうやってマイクを持って今日もフリーライブをしています」と素直に思ってる気持ちを伝えたら、その後の特典会で「すごく胸に響きました」って伝えに来てくれる方もいました。やっぱり人の心を掴むには自分の皮を一枚脱いだところを見せないと伝わらないとすごく感じました。ありのままの自分を見せることって大事なんですよね。
◆今の私は素でいられる
ーー以前の野島さんは“自分を繕ってしまう”と悩んでいましたが、もうほぼほぼ解決してますね。野島：そうですね。そのときの心境はデビュー・シングル『One』の歌詞にものすごく表れているんですけど、ある地方のイベントで見に来てくださる方が少ないライブがあったんですね。そこで披露した『One』の歌詞の心境と現状がリンクして泣きそうになってしまって……。それをグッと堪えて、その時は耐えたんですけど、この経験が鎧のように纏っていた不安とか、繕ってしまう自分自身をちょっとずつ解き放っていくきっかけになったと思ってます。もちろん、ソロのライブでお客さんを全然呼べないとか、路上ライブで足を止めてもらえないとか、目を背けたくなることもありますが、そういうことを全部経験してきたので、今の私は素でいられるし、嫌われることが怖くなくなりました。今は無双状態です！
ーーではそんな無双モードの野島さんに来年の抱負をお聞きしたいのですが。
野島：当面の目標は自分のワンマンライブを自分のオリジナルソングだけで完成させることですね。そのために自分のオリジナル楽曲をどんどん作っていったりとか、EPを出したり、カバーアルバムを出すとか、みんなが求めているものに自分も応えていきつつ、自分がやりたい音楽を突き詰めていきたいですね。自分の歌い方で届けたい歌がたくさんあります。あとは機会があったらまたミュージカルも挑戦したいなって思っています！
＜取材・文・撮影／安藤龍之介＞
野島樺乃●2001年生まれ。愛知県瀬戸市出身。’15年、にSKE48にの7期生として加入。’19年に初開催された「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」で優勝。同年25thシングル『FRUSTRATION』で初選抜。’21年にSKE48から卒業し、ボーカルグループ・et-アンド-のリーダーとして活動。’25年、ソロデビューを果たした。11月29日（土）に名古屋でワンマンライブ「野島樺乃One Man Live ～ECHOES vol.01～」を開催
