なにごとも“場数”に勝るものはなく、それは会食も然りだ。
そこで日々会食を重ね成功を収めてきた、トップエグゼクティブたちに頼りにしている店を教えてもらった。
日本を率いる経営者が選ぶ、ここぞというときの店には、会食を実りある時間にするヒントがある。
スタンフォード大学大学院修士課程修了。1998年日本高圧電気代表取締役社長就任。2004年株式会社中部化学機械製作所を伯父から引き継ぎ、株式会社エアウィーヴへ事業転換。
1.旅先を訪れたかのような特別感が、ゆったりと互いの心を解いてくれます
『虎白』@神楽坂
接待の語源は、仏教用語の“摂待”に由来し、旅人に茶や湯をふるまうことであったとされる。時代や形が変わっても、真心をもって相手をもてなすのは、ビジネス会食の大前提。
「会食とは、互いの理解を深めるイントロダクションの時間」と話す高岡本州氏が神楽坂の『虎白』を懇意にするのは、国内最年少でミシュラン・日本料理の三ツ星を獲得した小泉瑚佑慈氏の料理技術や心配りに絶大な信頼を置いているからに他ならない。
打ち水された石畳のアプローチ、笹の葉がさらさら揺れる音に誘われるように扉を開けば、そこには目も舌も肥えた“一流”を唸らせる時間が待つ。
「中庭を臨む個室でいただく極上の美味は、相手との距離が縮まります」
移転後は趣きの異なる個室を増設。
四季折々の表情を見せる中庭を生かした空間はため息がもれるほど雅な雰囲気だ。
「小泉さんの料理は、見た目も味わいも格別。個室にご挨拶にいらしてくださると場の空気も一気になごみ、初めての会食でも帰り際にはみな笑顔で、次回もご一緒しましょうという流れになります」と高岡氏。
鱧は1枚ずつ骨切りをし、昆布だしで湯引きしたもの。濾した梅をといた出汁でいただく。敷かれた氷も涼やか。
「ココナッツミルクのジェラート」。ベルギー産オシェトラキャビアの宝石のような煌めきに心が華やぐ。
料理はすべて¥49,500のコースから。
心が自然と通う会食の場として、これほど相応しい店はない。
― 高岡流会食の極意 ―
単なる食事ではなく心を通わせる場である
「食事という言葉は“人を良い事にする”と書くように、会食は心を通わせる場だと思っています。互いを知ることが、敬意へとつながる。美味しい料理を共に楽しみながら、より良い人間関係を築くことに重きを置いています」
1999年にアイスタイルを設立。同年に「@cosme」を開設し、国内最大の美容総合口コミサイトへと成長させる。2012年11月に東証一部に上場。
2.誠意ある「おもてなし」と美食を共有する「一体感」を一度に感じてもらえます
『士士』@六本木
「焼肉ならではの“シェアしている感”は密かな切り札」
常連の7割は経営者、全体の4割は会食利用という六本木の焼肉『士士』。
理由は安心して話せるディテールがそろうからで、まず全席個室で防音の壁を採用している。
さり気ない空気感で肉を焼き上げる接客も好評。さらには秘密の裏口があり、重鎮や著名人との会食でも心配なし。
実は同店代表の前職が社長秘書であり、経営者がどんな環境を求めているかを知り尽くしているのだ。
「海外からゲストが来日したときなど、完全個室で特別感を出すことができるので重宝しています。焼肉だからこそ空間をシェアしている感が出るのもいいですね」とは、公私ともに常連だという吉松徹郎さん。
肉は銀座『吉澤畜産』、滋賀『タツミヤ』をはじめ全国の卸業者から近江牛を中心に最高のものを仕入れる。
2mmの薄さにカットしたリブロースは焼いたあとに卵黄に落として食べる。
この時点で、釜炊きの「献上米」を頼む人も多い。
「海外からのゲストを必ず笑顔にさせる逸品があります」
料理長は『京都

