
それが元大手新聞社で競馬を担当し、競馬メディアの編集部で副編集長を務めたこともある「黒い太陽」氏。現在はフリーの競馬ライターとして、WIN5の予想を中心に情報を発信している黒い太陽氏に、今回はジャパンCの見解を聞いた。
(取材・構成=中川大河、取材日=11月27日)
◆“日の丸カップ”とは?
——急遽の依頼にもかかわらず、インタビューに応じていただきありがとうございます。早速ですが、今週末に行われるジャパンCの見解を伺います。黒い太陽:ジャパンCは単純明快。ずばり、レース名の通り“日の丸カップ”だと思ってください。つまり、白と赤の帽子が馬券に絡みやすい。内枠が圧倒的に有利なレースだということです。
——白と赤ということは1枠と3枠ですね。
黒い太陽:舞台となる東京芝2400mは、日本ダービーと同じコース。開催時期は異なりますが、馬場の傾向として、内が伸びて外が届きづらいという共通点があります。
——なるほど、実際に過去10年は1枠の馬が5勝、3枠の馬が3勝しています。
黒い太陽:特に1~3枠かつ5番人気以内の馬は非常に高い確率で好走しています。過去10年の該当馬成績は何と【9-3-6-6】ですから。また、2014年から11年連続でこの条件に合致する馬が最低1頭は馬券に絡んでいるので、枠順には注目していました。
——今年は1枠2番に入ったクロワデュノールが人気面でも“1〜3枠×5番人気以内”という好走条件に当てはまりそうです。
黒い太陽:この秋はフランスで2戦した遠征帰りで、状態に不安が残るものの、無視できない1頭です。ただ、どちらかというと馬券的に狙いたいのは、最内枠に入ったジャスティンパレスの方。
——ジャスティンパレスは枠順に加えて、鞍上を務めるC.デムーロ騎手の存在も手伝ってちょうど5番人気くらいになりそうな気がします。
黒い太陽:追い切りの動きも悪くなかったですし、百戦錬磨の6歳馬。距離も長い方がいいタイプですし、重い印を打つつもりです。
◆楽勝するようなら“イクイノックス級”の声も?
——内枠の馬から本命を探したくなるところですが、1番人気が予想されるマスカレードボールは外目の7枠15番。厳しいところに入った印象があります。黒い太陽:この馬はスタートが早くないので、内すぎるよりはむしろ良かったと思います。懸念材料としては、すぐ外(8枠16番)のシンエンペラーが先行タイプのため、坂井瑠星騎手も早めに内へ入れたいところでしょう。そうなるとマスカレードボールの前を横切る可能性があるため、カットされるような不利を受けなければいいのですが……。そこはもうC.ルメール騎手の手腕に託します。
——確かに前走の天皇賞・秋は古馬相手に完勝でした。
黒い太陽:前走は最終追い切りを木曜にスライドするなど、陣営も手探りの部分があったようです。私自身も完調手前かもしれないと危惧していましたが、レースでは見た目以上の完勝。叩き2戦目の今回は万全の状態で走れるのではないかと考えています。追い切りの動きも気になるところはありません。もし楽勝するようなら“イクイノックス級”の期待も持てそうです。
——確かにマスカレードボールの戦歴はどこかイクイノックスを彷彿とさせますね。
黒い太陽:ドウデュースがダービーを勝ったあの世代と今年の3歳世代のクラシックは割と似ているんですよ。穴人気の馬(ジオグリフ、ミュージアムマイル)が皐月賞を勝ち、ダービー馬(ドウデュース、クロワデュノール)が凱旋門賞に挑戦し、ダービー2着馬(イクイノックス、マスカレードボール)が天皇賞・秋を勝つ。ここまでは完全に一致しています。
——なるほど!イクイノックスも3歳秋の天皇賞がG1初制覇でしたね。
黒い太陽:むしろイクイノックスの世代は、ジオグリフが天皇賞・秋で9着に敗れ、4番人気ダノンベルーガが3着でした。これに対して今年の3歳はミュージアムマイルが2着で史上初の3歳ワンツー。これなら、割り引く必要はないでしょう。
——あの時のイクイノックスは天皇賞・秋から有馬記念のローテを歩んで、そこでも古馬を一蹴しましたね。
黒い太陽:マスカレードボールが“2代目イクイノックス”の道を歩むなら、ここを勝つかどうかが分岐点。ベストの東京が舞台で、2400mの距離もダービーで経験済み。クロワデュノールが絶好調なら怖い存在でしたが、最後まで出否の結論を待ったくらいのデキなら、マスカレードボールが優勢だと思います。

