いまや、東京での家探しは“大争奪戦時代”を迎えたと言える。特に1月から3月にかけては、新生活を控える人々が一斉に動き出し、「少しでも良い物件」を巡る熾烈な争いが繰り広げられる。
理想の住まいを手に入れるためには、早期の情報入手と条件整理が欠かせない。まさしく筆者も来春に控える上京に向けて、頭を悩ませている一人だ。
そこで今回は、地方出身者の上京を応援すると銘打った不動産業者「部屋物語」を手掛ける、株式会社日本エイジェントの東京本部部長・草薙匡寛氏に話を聞いた。「令和における物件探し」のスタンダードと、新生活を控える人が注意すべきポイントを教えてもらおう。

◆“分単位”で物件がなくなることも
——最近では、SNSを活用した物件紹介の動画や内見、そして契約に至るまでオンラインで完結できることが多いと思います。利用者が注意すべき点について教えてください。草薙匡寛氏(以下、草薙): 2点あります。1点目は“分単位”で物件がなくなること。インターネットで公開されている物件の写真のみで判断する方がいるためです。実際に内見をしようと物件に向かっている最中であったとしても、オンラインで先に契約をした方が優先になります。
——スマホ1台で気軽に物件を探すことができるようになったからこそ、判断のスピードがこれまで以上に求められるようになったということですね。
草薙:その通りです。ただ、一定のネットリテラシーの高さも同時に求められます。これが2点目に注意すべきポイントです。例えば水回りや周辺地域の環境は、ネット上の情報だけでは分かりませんよね。オンライン上で完結する場合、こうしたリスクを考慮する必要があります。
ですから、オンライン接客を導入している「部屋物語」では、データや数値からは分からない情報をお伝えすることで、入居希望者の不安を和らげるよう努めています。
◆部屋を見ずに契約することも可能だが…
——では早い段階で見つけた物件を「とりあえず押さえておきたい」場合、「仮押さえ」や「予約」は可能なのでしょうか?草薙:実は、物件を“押さえる”ことはできないんです。ですが、それに近い仕組みとして「先行申込」があります。
「先行申込」は、現入居者の退去後に実際の部屋を見て、契約するかどうか決める制度です。「先行契約」と呼ばれる仕組みもありますが、これは現入居者の退去前に契約まで終わらせてしまうものです。つまり、部屋を見ないまま契約することになり、やや不安を感じる方も多いです。
——3月になると争奪戦が始まるので、「先に探しておきたい」「確保しておきたい」という気持ちが生まれるのは、当然ですよね。
草薙:そうですね。ただ、お部屋探しのお手伝いをする上で、お客様に親身になろうと心を尽くしても、現実的には難しい部分も出てきます。一組一組にしっかり時間をかけたいと考えていても、時間をかけすぎては物件がなくなってしまう……。ジレンマですね。

