◆吉野家HDのバックアップ体制で加速する成長
吉野家HDに入ってから特に改善が進んだのは「衛生管理」の面だという。もともと食中毒リスクなどには非常に神経を使っていたそうだが、新たに専任の改善チームができたことで、衛生管理の体制は大きく向上したと久保田さんは言う。さらに、物件面でも吉野家とのシナジー効果が生み出せている。発祥の地である京都では優良物件を優先的に確保できたのに対し、大阪や滋賀、奈良などで新規出店を進める際は、なかなか良い物件に出会えていなかったという。しかし、M&A後は吉野家HDの持つ不動産業者とのネットワークにより、普段手に入らない情報も取得できるようになった。

衛生管理の強化と効率的な物件活用に加え、米や唐揚げといった主要食材については、吉野家HDの仕入れ体制を活用して安定供給が可能になったことで、物価高の状況下でも価格面で大きなシナジー効果を得ているという。
また、2024年5月に吉野家HDが子会社化した宝産業は、スープや麺の製造ノウハウを持つ企業で、新商品開発や日々の課題や悩みの相談先として非常に心強い存在になっているそうだ。
このように、吉野家HDのバックアップ体制やアセットの恩恵を受けながら、キラメキノトリのさらなる成長に向けて取り組んでいる最中だと久保田さんは語る。
そのほか、労働環境は上場企業基準に沿った改善が進み、働きやすさが向上し、現場の社員は研修を通じて吉野家HDとキラメキノトリの同世代・同職位の社員同士が交流する機会が生まれ、モチベーションの向上にもつながっているとのこと。
◆海外で京都発のラーメンを再現するべく奮闘
直近では海外展開の足掛かりとして上海に店舗をオープン。輸送コストや原価の問題もあり、現地で入手できる中国の小麦粉を使って麺を作ることになったが、品質を落とさず、地元の原料を最大限活かして麺を仕上げることにかなり苦労したと久保田さんは説明する。
それでも、現地スタッフやパートナー企業の協力により、最終的に納得のいく味を完成させることができ、新規オープンにこぎつけたのだ。中国での展開については、まず1号店の反応や評価を見ながら改善していく方針で、順調に売り上げが推移すれば、将来的には店舗展開も視野に入れているという。
牛丼やうどんといった日常食を事業の基盤としてきた吉野家HDは、ラーメンを第3の成長軸として確立するため、牛丼とは異なる戦略で国内外の展開を進めている。
2024年には先述の宝産業をM&Aして製造面を強化。さらには、地域に根差したラーメンブランドと組むことで国内基盤を整備し、海外展開の布石を打っていくという流れの中で、キラメキノトリはどう成長していくのか。
今後の動向に注目していきたい。
<取材・文/古田島大介>
【古田島大介】
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

