歴史的な逸品に囲まれながらの茶会は、参加者は特別な体験を提供
茶道のすばらしさは、茶室に入ったらみな平等だということが挙げられます。茶室の入り口である躙り口には腰を折り、頭を下げて姿勢を低くしなければ入ることができません。どんな高位の人も同様です。皆が同じ立場でお茶を純粋に楽しむ、それが茶道で大切なことなのです。また茶室に入ると、その日の茶会のテーマにふさわしい軸が床の間にかけられ、季節の花や花器、香炉など、それぞれ選ばれた理由があるものが設えられています。どれも美術館や博物館でしか見られないような一級品。それが目の前に現れるのです。そんな逸品を身近に感じ、手で触り、そのお茶碗でお茶をいただく。それこそが茶会の大きな楽しみでしょう。
今回の「大茶会」には、万博開催中ということもあり、多くの海外の方々が招かれました。グレイソン大使夫妻は、「住んでいるサンフランシスコには日本人街もあり、日本の文化には興味を持っていたが、万博の2300万人もの入場者の中で仕事をしていた自分たちにとって、このような静寂の中で、美しく歴史ある文化に触れられたことは特別な体験だ」と印象を述べておられました。
茶道をたしなむ日本人は減少傾向にありますが、海外の方に茶道を体験していただくことは日本を理解していただくための一助になるのではと、来年の開催が楽しみになりました。
2025年11月27日
