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東大専門塾に通う子どもが「学校の授業を聞かない」理由。「1日勉強だけで自由時間ゼロになる」加熱する受験戦争の最前線

東大専門塾に通う子どもが「学校の授業を聞かない」理由。「1日勉強だけで自由時間ゼロになる」加熱する受験戦争の最前線

◆OB/OGばかりの鉄緑会講師たち

Mさんが使っていたテキスト
Mさんが使っていたテキスト
 それどころか、現在東京大学3年生で鉄緑会OGのMさん(21歳)によれば、鉄緑会の講師から「学校の授業なんて無視して、鉄緑会の課題をやりなさい」とそれとなく示唆するような発言があったとも言います。

「『色の濃いクリアファイルフォルダの一番上に、課題ページをコピーして挟んでおけば、万が一咎められても偶然と言い逃れられる』などのバレないやり方が共有されていました。

『私は学校の授業は聞かないで、課題やっちゃってたけどね?』と圧をかけてきたり……。

 もちろんこれにも理由があります。鉄緑会の講師は、みんな鉄緑会OB/OGで現役の難関大学生。

 世間では『異様』といわれる塾ですが、逆に『鉄緑会万歳!』みたいに信者化する人も少なくない。

 信者化した人が、合格後に塾に出戻りしてきて講師になるんです。もちろん、鉄緑会のシステムや内職前提の考え方に順応している人たちですから、『内職するな』なんて言いません」

◆生徒と先生の“いたちごっこ状態”に

 もちろん、いくら自主性を重んじる進学校だとしても、この状況は憂いている様子。

 先生によっては内職を咎められるそうですが、「○○先生はダメ」などすぐ生徒側で情報共有されるので、終わりのないいたちごっこの様相を呈するのだとか。

 こうして鍛え上げられる戦士たちは、過半数が東大に合格していきます。ただ、それも裏を返せば「半分近くは受からない」。課外活動を優先したり、宿題をサボったり、様々な理由で「脱落」していくのです。

 加熱する受験戦争の最前線。ここまで準備が白熱すると、鉄緑会のあるなしで東大合格率は大きく変わってしまうでしょう。

 ただ、首都圏の子どもたちにとっても、「勝って当然」の戦いを強いる進学塾は、重石になっているように見えてなりません。

 教育とは、「教えて育てる」と書きます。ひたすら効率重視の先取り学習と山もりの課題演習で受験ソルジャーを育てるのは、本来の教育から外れているように見える。受験指導の専門家になるならば話は別ですが……。

 そう考えると、OBOGを講師として再雇用する形は、ある意味で理にかなった「福利厚生」なのかもしれません。

<文/布施川天馬>

―[貧困東大生・布施川天馬]―

【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。MENSA会員。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)
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