
「知らないと損する投資術」は魅力的に聞こえますが、多くの人気投資法には思わぬ落とし穴があります。ドルコスト平均法や“埋蔵金銘柄探し”、そして長期投資の常套句も、状況によってはリスクが大きくなる場合があります。投資の仕組みを正しく理解しておくことで、不安や焦りに振り回されず、より健全な判断ができるようになります。田内学氏による著書『お金の不安という幻想 一生働く時代で希望をつかむ8つの視点』(朝日新聞出版)から、投資術に潜む“見えにくい落とし穴”について抜粋して紹介します。
「知らないと損する投資術」は存在しない
魅力的に映る投資術にも、落とし穴が潜んでいる。
Case1 ドルコスト平均法
投資の本などでよく目にする「ドルコスト平均法」(定額購入法)は、 毎月定額を投資する方法だ。価格が安いときに多く買い、高いときには少なく買うため、長期的に平均購入価格を抑える効果があるとされている。
例1、例2では現在1000円で取引されている株を毎月3万円ずつ「定額」で購入する場合と、毎月30株ずつ「定量」で購入する場合を比較している。たしかに平均購入価格は定期購入のほうが低くなる。
落とし穴
ただし、必ずしも利益が出やすいわけではない。例1のように株価が大きく上昇したケースでは定量購入より利益は少なく、例2のように下落したケースでは損失が大きくなる。利益という点では状況次第で結果は異なり、どちらにも数学的な優位性はない。
