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「電気代20万円超え」の事例も…資産10億円の投資家が「民泊はワリに合わない」と語る理由

「電気代20万円超え」の事例も…資産10億円の投資家が「民泊はワリに合わない」と語る理由

東京23区の中古ワンルームマンション中心に不動産投資を行いFIREした個人投資家・村野博基氏。現在、38戸の物件を所有し、時価資産額約10億円、年間家賃収入約4000万円の村野氏ですが「民泊」に対しては否定的。「昔は保有物件で民泊運営もしていたが今は賃貸に出している」と語ります。新刊『戦わずして勝つ 不動産投資30の鉄則』を上梓した村野氏が「なぜ民泊をやめたのか」について語ります。

民泊
写真はイメージです

◆なぜ民泊をやめたのか?

観光客に個人宅や投資物件を貸し出す「民泊」。2010年代に流行り始めて、コロナ禍で一瞬廃れましたが、昨今のインバウンド需要で再び話題になっています。

私自身も不動産投資を行うなかで、所有物件を民泊向けに改装して実践してみましたが……。やはり「普通に賃貸に出そう」という結論に至りました。

まず、民泊は「かかるコスト」が非常に大きいのがネックです。Airbnbに代表されるの仲介サイトに払う手数料は宿泊料の15%、清掃や運営業務を委託する場合には加えて10~30%ほどの手数料がかかります。宿泊料の3~5割程度が手数料としてかかると利益は大きく削られてしまいます。

物件を運営していくためのコストも見過ごせない存在です。Wi-Fiルーターの設置は必須です。民泊物件が多い地域では差別化のために部屋の壁紙を変えたり、家具を入れたりと設備投資も行わなければなりません。

また、電気代や水道代も一般的な見込みよりも高くつきました。もちろん光熱費はオーナー持ちですから、泊まる人は好き勝手に使います。知り合いの民泊事業者さんは大枚をはたいて電気サウナを導入したのですが、常にサウナをフル稼働で暖められて月々の電気代は20万円を超えたそうです。

トイレットペーパーやシャンプーなども「なんでこんなに使うの!?」というぐらいあっという間に無くなることも度々発生しました。「こんな環境に優しくない使い方をするなんて、地球に謝りたい!!」と思ったこともあります。

加えて、泊まっていく利用者のマナーも、総じてあまり良くはない印象でした。もちろん何のトラブルも起こさないユーザーも多かったのですが……。「旅の恥はかき捨て」とよく言われますが、大声で喋るなど騒音の問題やごみ捨てのマナーもあまり守られず、分別していないゴミがそのままマンションの共用部に放置され、苦情対応などにも手間がかかります。

◆法改正によっては投資感覚の運営が困難に

さらに見過ごされがちなのが「残置物」です。なぜか部屋の中にいろいろなものが残されていました。残置物があるたびに、ユーザーに確認の連絡を入れて「忘れ物ではないですか?」「こちらで処分して良いですか?」と聞くのは、本当に面倒でした。

これだけコストもかかり手間が多いのにも関わらず、通常の民泊は法律で貸し出せる期間が年間180日と決まっています。最大で年半分しか稼働できないとなれば収益性としての魅力は小さくなってしまいます。民泊で稼働できない残りの期間はマンスリーマンションで貸し出すなどの対応になるのですが、その手間と面倒も発生します。

しかも、今後さらなる法改正が予定されており、自治体によってはより時期を短く夏季期間や年末年始のみに限定したり、管理人さんの常駐が義務付けられるといった話も出ています。民泊はホテルや旅館と同じ土俵で戦うような状態になりつつあるのでしょう。

これらの理由から私は都市部での民泊はワリに合わないと判断しました。ちゃんと近隣に迷惑をかけず、ゲスト(お客様)にも満足してもらおうとすると、ものすごく手間がかかるのです。


配信元: 日刊SPA!

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