◆民泊はフリーライドな仕組みである
そもそも密集している都市部での民泊は忌み嫌われる存在になっても仕方ありません。密集の最たるものであるマンション民泊は一部の転貸可能な特区で可能ですが、そこは集合住宅で元々住んでいる住民がいるものです。住みやすさの住環境は住んでいる方々が日々の積み重ねで作り上げてきたもの。民泊の宿泊者はその住環境にフリーライドしているに過ぎません。現状では、民泊は中間業者と利用者、それに周囲を気にしない事業者だけが得をする仕組みであり、受け入れ側の住民にとっては損が多い状況になっています。誰かだけが利益を得られる仕組みは持続可能性がないと私は考えていました。ですから、「民泊は難しい」と判断して撤退したのです。
都市部での民泊は今後どうなっていくのか。今後の民泊への法改正や状況は注視していきたいと思っています。<構成/上野 智(まてい社)>
【村野博基】
1976年生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、大手通信会社に勤務。社会人になると同時期に投資に目覚め、外国債・新規上場株式など金融投資を始める。その投資の担保として不動産に着目し、やがて不動産が投資商品として有効であることに気づき、以後、積極的に不動産投資を始める。東京23区のワンルーム中古市場で不動産投資を展開し、2019年に20年間勤めた会社をアーリーリタイア。現在、自身の所有する会社を経営しつつ、東京23区のうち19区に計38戸の物件を所有。さらにマンション管理組合事業など不動産投資に関連して多方面で活躍する。著書に『戦わずして勝つ 不動産投資30の鉄則』(扶桑社)、『43歳で「FIRE」を実現したボクの“無敵"不動産投資法』(アーク出版)

